ゴルフ場にはドレスコードが定められていることが多いですが、中には長年に渡り改定が加えられず、時代錯誤ともとれるルールがいまだに残っている場合があります。時代に取り残されないためにゴルフ場のドレスコードはどう変化していくべきでしょうか。

「ゴルフウエア」なのにNGってどういうこと?

 ゴルフ場に出入りする際はコースが定めるドレスコードを守る必要があります。一般的にクラブハウスではジャケットや襟付きシャツの着用を求められることが多く、プレー中においても「ゴルフウエア」の着用をルールとしているコースが多いです。

すね毛を処理していてもハイソックスじゃなきゃダメ? 写真:Getty Images
すね毛を処理していてもハイソックスじゃなきゃダメ? 写真:Getty Images

 ところが、なかにはゴルフメーカーが「ゴルフウエア」として販売している製品なのにもかかわらず、着用をNGとするゴルフ場もあるようなのですが、一体なぜでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「確かに、ゴルフメーカーが販売する『ゴルフウエア』でも、ものによっては認められていない場合があります。数年前に一部のゴルフメーカーが販売した肌に密着するタイプのシャツをNGとしているコースがあります。メーカーが『機能下着』という名称で販売したこともあり『ゴルフウエアではなく下着なのでは?』と物議を醸したのです」

「それを半袖ポロシャツの下に“野球のアンダーシャツ”のように袖を見せて着る人も多く、またハイネックタイプだとポロシャツの襟元から出ていたので『下着』と銘打っているにもかかわらず、一部が露出されていることが問題視されたわけです」

「結果的に、ゴルフウエアなのか下着なのか曖昧なものは露出をNGとする風潮が高まったため、その後、他のメーカーがゴルフウエアとして発売したモックネックシャツなどでも『下着っぽくも見える』という理由でNGとするゴルフ場も出てきました」

「実際に、埼玉県のとあるゴルフ場ではホームページ上で『ゴルフメーカーが販売しているものでも、当クラブのドレスコードに合致しないことがあります』と明記しており、ふさわしくないと判断された際はスタッフから注意を受けます」

ドレスコードも時代に合わせて見直していくべき

 また、飯島氏はゴルフ場のドレスコードに対し「ファッションの進化に取り残され、なかには理不尽だと感じるルールも残っている」と話します。

「社団法人系など閉鎖的なゴルフ場であればメンバーの多数決を基準に自由に決めればいいかもしれませんが、とはいえ、世の中のトレンドに合わせてドレスコードを改めるという考えも、あってしかるべきだと思います」

「例えばソックスに関するルールひとつとっても違和感を覚えます。夏はショートパンツでプレーしたいと考える人も多いですが、男性の場合はすね毛が清潔感に欠けるという理由でハイソックスの着用をルールとしているゴルフ場が、特に名門と呼ばれるようなコースではいまだに多く残っています」

「中には『ショートソックスはOKだが、くるぶしが見えているものはNG』という意味不明なルールを定めているゴルフ場も存在します」

「最近は男性でも脱毛するなど、すね毛をきれいに処理をする人が増えています。そのような人は『処理していてもハイソックスを履かなければならないの?』という矛盾を感じてしまうことでしょう」

「服装に対する世の中の価値観や考えは変化し続けていますし、ゴルフウエアに関してもファッション性が向上しているので、ゴルフ場のドレスコードだけがそのままの状態で留まっているのはおかしいです」

「特にメンバーシップコースでは昭和の古い考え方を固持している会員がずっと役員を務めている場合も多く、横並び意識が強いとともに『クラブの伝統を守りたい』という意識が高すぎることから、若い世代から見ればおかしなルールやマナーがいまでも残っているのです」

 ゴルフはいま「贅沢な大人のたしなみ」から「誰でも気軽に始められるスポーツ」への方向転換の最中です。旧態依然としたドレスコードも時代とニーズに合わせて見直していくべきなのかもしれません。

ピーコックブルー