女子ゴルフの国内メジャー「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」を制したリ・ヒョソン。15歳のアマチュアが成し遂げたこの快挙を、母国である韓国ではどのように報じられたのだろうか。

“強心臓”“勝負師”と言われる理由

◆国内女子プロゴルフ<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月2〜5日 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県) 6665ヤード・パー72>

 女子ゴルフ国内メジャーの「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」で優勝したのは15歳のアマチュア、リ・ヒョソンだった。

 最終日は10位タイからのスタートながら、18番パー5でイーグルを奪取し通算8アンダーでフィニッシュ。最後は優勝争いを繰り広げていた2年連続年間女王の山下美夢有と昨季韓国ツアー賞金女王のイ・イェウォンを抜いての大逆転劇だった。

大逆転でメジャーを制したリ・ヒョソン ウエアの左袖には太極旗が刻まれている 写真:Getty Images
大逆転でメジャーを制したリ・ヒョソン ウエアの左袖には太極旗が刻まれている 写真:Getty Images

 改めて韓国女子ゴルファーの底力を感じさせる大会だったわけだが、母国メディアも今回の快挙を大々的に報じている。

「スーパールーキーの登場…強心臓を備えたリ・ヒョソン、日本ゴルフに新たな歴史」(聯合ニュース)「韓日ゴルフクイーン対決の日本の舞台で…15歳国家代表のリ・ヒョソンがまさかの優勝」(朝鮮日報)「15歳176日、リ・ヒョソンがJLPGA歴代最年少優勝を達成」(NEWSIS)「日本のゴルフ史を変えた“強心臓”リ・ヒョソン、『優勝が見えたからイーグルを狙った』」(イーデイリー)

 このような見出しで試合の詳報や日本ツアーの最年少優勝記録を塗り替えたことなどを伝えているが、彼女がなぜ“強心臓”と言われるのか。

 それについて「イーデイリー」は、「リ・ヒョソンが“強心臓”と言われる理由は、普段は落ち着いて安定したプレーをするのだが、勝負所になると攻撃的なショットでスコアを伸ばしてくるのが強み」と説明。

 2022年と23年の韓国女子アマを2連覇しているが、同大会は「1度の優勝も難しい」と言われるほど。ここで“勝負師”の愛称もついたのだが、チャンスと見れば果敢に攻めるゴルフで韓国アマチュアナンバーワンの称号を2度も手にしている。

「太極旗が刻まれたウエアで優勝したことに大きな意味」

 しかし、今回「ワールドレディスサロンパスカップ」の現地取材に来ていた韓国メディアは1社もなかったため、彼女が優勝後の公式会見で何を話したのかを聞いた韓国記者ももちろんいない。

 そのため、後日電話インタビューする韓国メディアが多かった。そこでリ・ヒョソンが語った話が印象的だった。

「毎日経済」は冒頭で「満15歳176日でJLPGAツアー最年少優勝記録を塗り替えたリ・ヒョソンを見ると、2008年生まれのねずみ年ではない。1984年生まれのねずみ年に見える。ゴルフ場ではベテランのようにプレーし、メンタルも浮き沈みがまったくないからだ」と報じ、電話取材でこんなことを語っていた。

「JLPGAツアーで優勝したのがまだ信じられない。ゴルフに専念できるように環境をつくってくれたおじいちゃんに感謝したい。コリアと太極旗(テグッキ=国旗)が刻まれたウエアを着て優勝したことがまた大きな意味がある。おごらずにもっと一生懸命に練習して、世界の舞台で名前を知らしめるリ・ヒョソンになりたい」

 また、「米女子ツアーで韓国人最多優勝の記録を打ち立て、グランドスラム、世界ランキング1位を獲りたい。五輪でも金メダルを獲得して“愛国歌”(韓国国歌のタイトル)をゴルフ場に響き渡らせたいという夢もある」と壮大な将来の夢についても語っていた。

 まだ15歳のアマチュアだが、韓国女子ゴルフ界では期待を寄せている逸材なのが国内メディアの報道からも良く分かる。いずれ米ツアーに飛び出し、世界1位になる日が来るのを楽しみにしたい。

 もちろん日本ツアーに顔を出す日も来ると思うが、さらに成長した姿を楽しみに待ちたい。

キム・ミョンウ