日本を歓喜の渦に包んだWBC以降もMLBで大活躍している大谷翔平選手は、なんと1日12時間もの睡眠を取るそうです。「睡眠と競技パフォーマンスの関係性」から、ゴルファーにも応用できるポイントをプロアスリートの施術を行っている筆者が解説します。

アスリートにとって十分な睡眠は必要不可欠

 朝の早い時間帯からプレーする機会が多いゴルフ。時には十分な睡眠を取ることができず、「寝不足の状態でラウンドを迎えてしまった……」というケースも考えられるでしょう。

 果たして睡眠と競技パフォーマンスにはどのような関係があるのでしょうか。トップアスリートから学ぶ睡眠の大切さについて、アスレティックトレーナー資格を保有しプロアスリートの施術も行っている筆者が解説します。

大谷翔平の睡眠時間は1日12時間とも言われている 写真:Getty Images
大谷翔平の睡眠時間は1日12時間とも言われている 写真:Getty Images

 今年3月に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表を優勝へ導き、今シーズンも大活躍しているメジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平選手ですが、1日の睡眠時間はなんと12時間にも及ぶそうです。

 投打の「二刀流」として世界のトップで活躍を続ける大谷選手ですが、ピッチャーとしてもバッターとしてもシーズンを通して試合に出続けるために、体調管理には相当気を遣わなければいけません。

 中でも「睡眠」に対してかなり高い意識を持っているようで、MLBアナリストの古内義明氏が、今年4月11日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)に出演し、「大谷選手は1日の約半分を睡眠に費やしている」と紹介しました。

 実は、大谷選手以外にも、テニスプレーヤーのロジャー・フェデラーや、NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズも1日の睡眠は12時間前後、陸上100メートルと200メートルの世界記録保持者であるウサイン・ボルトも1日の睡眠は10時間前後と言われています。

 さらに米女子ゴルフでは、多くの選手が8時間以上の睡眠時間を確保しているそうで、体力勝負のプロアスリートにとって十分な睡眠は必要不可欠ということが分かります。

「睡眠の質」も意識すべき

寝不足でのラウンドはパフォーマンスの低下につながることも 写真:AC
寝不足でのラウンドはパフォーマンスの低下につながることも 写真:AC

 しかし、ラウンドは朝が早いことも多く、睡眠をたっぷり取ることはなかなか難しいかもしれません。

 パフォーマンスを向上させるためには、たとえ短い睡眠時間だとしても「睡眠の質」を高めていくことが重要です。睡眠の質は1日や2日たくさん寝たからといって改善するものではなく、しっかりとした生活習慣がカギを握ります。

 当たり前のことですが「夜更かし」はしないことです。また、疲れを取りたいからと極端な「早寝」もオススメできません。大切なのは、体のリズムをできるだけ一定にして、決まった睡眠時間を確保することです。

 さらに、平日の睡眠不足を解消しようと週末に昼まで寝る習慣がついてしまっている方も要注意です。いわゆる「寝だめ」は体内のリズムを狂わせてしまうので、休みの日であっても同じくらいの時間に目を覚ますことが重要です。

 また、入浴は就寝時間の「90分前」までに済ませましょう。湯船につかると深部体温(体の内部の体温)が上昇します。例えば、40度のお湯に15分入浴した場合、上がった深部体温が元に戻るのに要する時間は約90分。この深部体温が下がったタイミングで人は眠くなるため、この頃にベッドに入ることがスムーズな入眠につながります。就寝直前の場合は、シャワーで済ませることがオススメです。

 毎日の生活リズムを整えて、決まった睡眠時間をしっかり確保することが睡眠の質を向上させ、そしてパフォーマンスの向上へとつながっていきます。スタートホールからベストなコンディションでプレーするためにも、睡眠が欠かせない要素の一つになっていると言えそうです。

LUIS FIELD/コンディショニング整体〜lead〜院長・大野稔