今年も看護週間(5月12〜18日)中、イベントなどを通し看護職の魅力ややりがいが広く発信された。看護師は地域医療の根幹を支える存在だが、愛媛県内でも他業種に漏れず人手不足感が強まっている。生産年齢人口の減少が進む中で改善への特効薬は見つからず、県内の自治体や医療機関は新規採用のほか、資格はあるが仕事に就いていない「潜在看護師」の掘り起こしに活路を求める。
 実は県内で働く看護職員の数は増加傾向にある。県によると、2012年の約2万1660人から、20年には約2万3290人に増えた。22年は約2万2580人とやや減ったが、10年間で千人近く増えている。
 一方で、高齢化進展や生活習慣病のまん延といった疾病構造の変化により、在宅医療や地域ケアの人材需要が増大。看護師の活躍の場も医療機関以外に広がった。産休・育休の取得促進や、ライフステージに合わせた多様な働き方も推奨される中、看護人材が足りない状況が生じている。
 県の危機感は強い。24年度当初予算で、元看護師の復職説明会や実技研修などの費用約4097万円を確保した。県内の潜在看護師を1万人弱と推計。現場復帰してくれれば即戦力になると期待する。他業種との人材獲得競争も激しさを増す中、県内で看護師として働く魅力や、復帰への不安解消に向けたサポート体制などを丁寧に発信していく構えだ。