掌編小説を執筆し印税相当額と講談社売り上げを寄付予定

 NEWSのメンバーで小説家の加藤シゲアキ、小説家の今村翔吾氏、小川哲氏が、能登半島地震支援企画『あえのがたり』を始動することが、20日に発表された。

 加藤は、自身の長編小説『なれのはて』(講談社)でノミネートされた1月17日夜の直木賞選考会で、今村氏、小川氏とともに能登半島地震支援の企画を立ち上げた。まずは企画始動のお知らせとして、『小説現代』(講談社)5・6月号に掲載予定の3人の座談会が、ウェブマガジン『現代ビジネス』で20日から先行公開される。被災地の書店が復興半ばであることを鑑み、「あらゆる環境にある方にも平等に読んでいただけるように」という考えから、ウェブでの先行公開を決定した。

 企画名の『あえのがたり』は、能登地方に伝わる伝統儀礼「あえのこと」から着想。能登地域の農家では「田の神様」を祭り、感謝をささげる儀礼を「あえのこと」といい、「あえ=おもてなし」「こと=祭り」という意味を持つ。被災地の人々に寄り添う思いを、物語という「あえ=おもてなし」にのせて届けようという意図からつけられた。

 今後は加藤と今村氏、小川氏の3人を中心に、作家に参加を呼びかけ掌編小説を執筆し、アンソロジーとして24年内に書籍の刊行を目指す。

 加藤は、「この段階では、小説には何もできないかもしれません。でも、いつか物語が必要になる瞬間が来ると思うのです」と語り、「そのときに傷ついている人たちにそっと寄り添えたりできる力が物語にはあると思っていて。年明けからずっと『自分に何ができるだろう』と考えていました」と明かした。

 小川氏は、「本というのはずっと残っていくものだし、だから短期的に注目を集めるというよりも(略)、続けていくことが大事なんですよね」と回答。今村氏は「僕も、作家として震災に関わったことがないから、どうすればいいのか、っていうのは思うね」と語り、「(略)残していかなければならないと。本は、何十年経っても読まれるもんだから、『記憶のしおり』としてはすごくいいもんやと思う」と語った。

 刊行予定の書籍では、参加著者の印税相当額と講談社の売上を能登半島復興支援のため寄付する予定。ENCOUNT編集部