物議を醸す列車内での迷惑客

 新幹線に乗車したところ、突然見知らぬ中年男性に絡まれ、不愉快な思いをしたという投稿が大きな話題になっている。自由席の2列シートという狭い空間で、何が起こったのか。当該女性に詳しい話を聞いた。

 できることなら、一刻も早く忘れたい。なのに、忘れたくても忘れられない。

「数年前の話だけど、ガラッッガラの新幹線乗ってたら中年のジジイが『ここいいですか?』って言いながら隣に座ってきて、どこか旅行に行った帰りですか?とかどこまで降りるんですか?とかおいくつですか?とかめちゃくちゃ話しかけてきたのね。最初は適当に相槌打ってたけど途中からシカトしてたら

しばらくしてスゲーーーー巨大なため息をついて『わざわざ貴方の隣に座ったのに酷いですね』みたいなことをぶつくさ言い始め、最後に巨大な舌打ちとアバズレ!って捨て台詞を残して去っていったよ 今思い返してもだいぶヤバい、よく無事だったよなァ」

 女性が投稿した忌々しき記憶に、ネット上は騒然。

 4.5万件の“いいね!”とともに、「よく我慢しましたね」「多くの女性は交通機関で(同様の)被害あってると思う」「正常な思考の男性なら、空いている席が他にあるのならわざわざ若い女性の隣になんか座らない」「こういうの、その場で通報できるシステムとか飛行機みたいに乗務員を呼べるボタンとか必要ですよね」「結局こういうのがいるから知らんおっさんが隣に座るだけで嫌だって思う女性が増えるわけよ」など多くの声が上がった。

 たびたび物議を醸す電車やバス内での迷惑行為。女性が被害を受けたのは新幹線の2列シートでの出来事だった。

「2人席で、自分は窓際に座っていました」

 そこへやってきた面識のない中年男性。酒に酔っている様子はなかったという。

 ほかに席が空いているのに、わざわざ女性の隣に座ってくるのは嫌がらせそのもの。その上、声がけに応じない女性に悪態をつきまくるのは常軌を逸した行為だ。

 まともに抵抗したら何をされるか分からない。恐怖で声すら出せない状況の中、女性が負った心の傷は察するにあまりあるだろう。

 近年、列車内での凶悪犯罪が続発している。

 新幹線車内では2018年に殺人事件が発生。21年には、小田急線車内で無差別刺傷事件、京王線車内で刺傷事件が起きた。

 女性はこの件があった以降、新幹線や列車に乗るたびに、周囲を確認することを怠らずにいる。

「話しかけられたとしても絶対に受け答えはしない、あまりにもひとけのない車両には乗らないようにする等を意識しています」

類似被害女性多数の実態に「大きく衝撃」

 投稿は大きな反響を呼び、女性たちからは類似した体験談が複数寄せられた。

「ガラガラの指定席に座ってたら、指定券もってない50-60代と思しき男性が私の席のそばに来て、話しかけてきた 途中でやばいと気づいたけど、時すでに遅し、やつは指定席料金を途中で払い、座ってしまった」「飛行機や新幹線で隣になった人に延々と話しかけられることあるから、つらいの分かります」「子連れになってからは舌打ちおじさんくらいしかなくなったけど、1人の時は本当おじさん話しかけるために隣座ってきたりするー!」「映画館が全席指定じゃなく自由席だった時代の話。空席がいっぱいあるのにわざわざ私の隣に座ってきた中年おじい。不審に思っていたら露出狂だった」「そーゆー輩に会いたくないから指定席のみ。それでもそういう状況になった時のためにイヤホン、嘘の書類用意して乗って仕事してるふりします」

 移動や座席に関し、嫌な思いをしている女性が身近にたくさんいる現状が浮かび上がる。

「元々(ネット上で)新幹線の座席に関して話題になっていた中で、ふと思い出した過去の出来事を何となく投稿しただけのポストだったのですが、それがここまで拡散されたこと自体驚きでした。また、返信や引用リポストにおいては作り話を疑う声がごくわずかにあったものの、大半が類似被害の経験談を始めとした同意・共感の声となっていました。この反応の様子から、新幹線を始めとした公共交通機関内で他人から不快な思いをさせられた経験を持つ方が想像以上に多いことが分かり、大きく衝撃を受けています」

 投稿は、改めて車内のマナーが喚起されるきっかけになった。

「今回の自分の投稿にここまでの反響が集まったことは完全に想定外ではあったものの、このような経験談や過去に公共交通機関内で発生した事件の内容を知っておくだけでも身を守ることにつながると考えているため、結果的に多くの方々に現状を知っていただくきっかけになっていれば幸いです」と結んだ。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム