不利の下馬評を覆す

 ボクシングのIBF世界バンタム級(53.5キロ)タイトルマッチ12回戦が4日、エディオンアリーナ大阪で行われ、同級1位の挑戦者・西田凌佑(27=六島)が王者エマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)を3-0の判定で破り、世界王座初挑戦でベルトを獲得した。西田の戦績は9勝。ロドリゲスは22勝3敗。

 ボクシングと音楽の融合イベント「LUSHBOMU vol.3 feat. 3150 FIGHT」(ABEMAで全試合無料生中継)の中で行われたタイトルマッチ。下馬評では不利だった西田が、アップセットを起こした。豊富なキャリアを誇るロドリゲスからベルトを奪い取った。

 1Rは互いに見合う展開。2Rからはリングの中央で足を止めて打ち合う展開となった。西田のショートストレートがロドリゲスの顔面を捉える場面も。そして4Rだ。西田の左ボディーがさく裂。ロドリゲスが苦悶の表情でたまらず膝をついた。

 だが立ち上がった王者も意地を見せる。5Rには至近距離でのフック、右ストレートを西田の顔面に当てる。さらに7Rにもフックで西田をぐらつかせた。

 終盤も至近距離で打ち合う両者。西田は被弾を恐れず、雨に出て圧力をかけ続ける。ボディーを立て続けにヒットさせ、ロープを背負わせる場面も。11Rには「西田コール」にノリ、激しい打ち合い。至近距離でのアッパー、そしてボディーとダメージを蓄積させていく。最終ラウンドまで激しく打ち合い判定へ。ジャッジ3者が西田を支持した。手が上がった瞬間、顔面を腫らした西田は目元をぬぐった。

 西田は奈良県出身。2019年にプロデビュー。21年4月に比嘉大吾を破り、WBOアジアパシフィックバンタム級王座を獲得。昨年8月11日にクリスチャン・メディナとのIBF世界バンタム級挑戦者決定戦に勝利し、ロドリゲスへの挑戦権を獲得していた。

 ロドリゲスは18年にIBF世界バンタム級王座決定戦で勝利しベルトを獲得。1度防衛後、19年に井上尚弥に2R・TKO負けで陥落したが、昨年8月に同級王座決定戦で判定勝ち。4年ぶりに王座に返り咲いていた。

 バンタム級ではWBA王者が井上拓真、WBC王者が中谷潤人で、西田の勝利により世界主要4団体のうち3本のベルトを日本人が巻くことになった。なおWBOについては6日に武居由樹が王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に挑戦。4団体すべてのベルトを日本人が独占する可能性もある。ENCOUNT編集部