タイチ、技ありの丸め込みで混戦を制す

 プロレス界初の業界団体「日本プロレスリング連盟 United Japan Pro-wrestling (UJPW)」の発足を記念したオールスター戦『ALL TOGETHER』が、5月6日、日本武道館で開催された。今大会は令和6年能登半島地震の復興へ向けたチャリティ大会でもあり、新日本プロレス、プロレスリング・ノア、DDTプロレスリング、大日本プロレス、DRAGONGATE、スターダムの6団体が参加。本大会ならではの全8試合がラインナップされた。

 第6試合にラインナップされたのが、DDT4.7後楽園ホール大会でも好タッグぶりを見せたザック・セイバーJr(新日本)&クリス・ブルックス(DDT)のイギリスコンビ対タイチ(新日本プロレス)&KAI(DG)のタッグマッチ。当初はSANADA(新日本)がKAIと”武藤全日本”の同期タッグで参戦予定だったが、体調不良のため全日本の先輩にあたるタイチが代打出場となった。ちなみにタイチとザックはかつて鈴木軍の仲間として「デンジャラス・テッカーズ」として組んでいたが、鈴木軍解散からは初遭遇となる。

 4人がリング上に揃うと、タイチとザックがにらみ合い。そしてそのまま試合がスタートし、元パートナー同士らしい一進一退の攻防を見せる。そしてKAIとクリスが出てくると、試合展開は一変。KAIがラフファイトを織り交ぜながらクリスを翻弄するも、クリスはうまくいなしザックにチェンジ。ここからザックとクリスは細かいタッチワークで、KAIの関節という関節を痛めつけていく。タイチはなぜか場外に下り、カットに入らない。

 しかしレフェリーのブラインドをついて、クリスに急所攻撃をかましタイチに強制タッチ。ここからKAIとタイチは何もかもかみ合わない状況で試合が進み、KAIが長くリングにいる展開に。一方ザックとクリスはプライベートでも仲が良いところを見せつけるかのように、オクトパスホールドの競演を見せる。しびれを切らしたタイチはKAIのピンチを救い、再びザックと対峙。なんと自身のルーツを確認するかのように、ココナッツクラッシュも披露する。ザックもなんと逆アックスボンバーを見せるなど、エモーショナルな瞬間も。

 その後ザックはタイチにザックドライバー! このピンチにKAIは椅子を持ち出し、場を荒そうとするも、タイチがストップをかけ仲間割れ。そしてザックとクリスが同士討ちした隙を見逃さず、タイチがクリスをタイチ式外道クラッチ37で仕留めた(14分59秒)。最後はKAIが1vs3の状況で攻撃を食らい、タイチとザックとクリスが握手。そしてザックとクリスが恒例のキス、なぜかタイチもザックにキスをしてリングをあとにした。

 バックステージで、ザックとクリスは日本語でコメントを残した。クリスが「初めて負けました。解散します」と語るもザック「終わり?」と首をひねる。そうするとクリスは「もう1回やりましょう。次はちゃんと、チームコスチューム同士でちゃんとやりましょう」と答え、ザックは「新日本はどうですか?」とネクストを示唆。タイチに対しては「鈴木軍、終わった。たくさんエモーショナル。でも楽しかった。俺とタイチさん、シングル久しぶり。ノアで1回。じゃあ、新日本でもやるか? 一番いいのは『G1』で同じブロックだと思います。新日本、お願いいたします」と語った。

 一方のタイチは「今日、いろんな条件が重なって。もちろんSANAやん(SANADA)の代打で終わるつもりはなかったし。俺はあまりこういうのは好きじゃねえけど、相手にザックがいたから。実はアイツ(クリス)とイギリスで1回シングルマッチやってるんだよ。だからよく知ってるんだ、アイツのこと。どっちが勝ったかそれすら憶えてねえけど、アイツとシングルやって、いい試合できたなっていうのがあったから、アイツは俺の記憶に残っていた。あの2人がいたから今日は出場しただけで、ただSANAやんのただの代打で終わりたくなかったから。まあどんな形であれ結果を出せて恥ずかしくないね」と語り、フィニッシュ技について「あれはSANAやんが教えてくれた特別な外道クラッチなんだ。『外道クラッチ37』だ。今日はザックとやれて良かったし、今の彼氏(クリス)のこともよくわかった。だからザック、次は……やっぱ俺、ザックのことが大好きだし、もっと知りたいし、次はシングルマッチやろうぜ。どんな形でもいいから」と語った。

 KAIは「ふざけんじゃねえぞ、どいつもこいつもこの野郎! これもよ、全部よ、同期のSANADAのせいだぞ!俺はよ、今回よ、お前と組めなくて、心の中で泣いてしまって、号泣してんだよ、号泣よ! ふざけんじゃねえ! この落とし前はどうつけんだ、この野郎! まあどこでもいいや、そんなもんよ! 俺の気が向いた時に、お前に助太刀してやるよ。俺のよ、昔のアニマル浜口ジムの先輩の内藤さんと鷹木さんとお前、抗争してるんだろ? この俺が手貸してやってもいいぞ? でもよ、それは全部SANADA、お前次第だ。単刀直入に言うぞ。俺は焦ってねえからな、わかったか!」とSANADAへの思いを“らしく”語った。橋場了吾