吉田羊「ようやく皆さんに見ていただけるというワクワク感」

 俳優の吉田羊が10日、東京・PARCO劇場で行われたPARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』の初日前日会見およびプレスコールに、飯豊まりえ、牧島輝、大鶴佐助、広岡由里子、吉田栄作とともに出席した。同作にまつわる思いなどを語った。

 シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』は、Q1版・Q2版・F1版と3種類の原本があり、現代ではQ1版はQ2版の原型で、Q2版は草稿、F1版が当時の劇団保管演出台本で、Q2版を参考に制作されたとも言われている。長さが、現在よく上演されているF1版の約半分で、物語が凝縮されたQ1版は、畳みかけるように展開される疾走感のあるドラマが魅力の戯曲。シェイクスピア劇全37作品の翻訳を達成した松岡和子による新訳で上演する。

 今回の演出は、2021年上演の『ジュリアス・シーザー』で高い評価を得た森新太郎氏。同『ジュリアス・シーザー』にて主演を飾った吉田は、第56回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。

 主人公のハムレットを演じる吉田は「ようやく皆さんに見ていただけるというワクワク感と、できればあと1か月稽古したい(笑)、という複雑な気持ちで今ここに立っております」と率直な心境を吐露した。

 森との再タッグについて「(稽古などが)相変わらず情熱的で、熱く、厳しくもあり、100本ノックも含めて厳しさは健在でした。最難関の『ハムレット』という作品の大変さを森さん自身が一番わかっている。あの、休憩をとりたがらない森さん自ら、『10分休憩』と。役者の体や声のことを気にして、休憩を自らとっていたのは、とても驚きでした。今回も休憩なしで9時間稽古するのかな、と覚悟して入っていたので」と語った。

 また、『ジュリアス・シーザー』に続いて、再び男性役を演じる。「『ジュリアス』のときと引き続き、これと言って、男役を意識した役作りは正直しておらず、声を低く発声する、くらいは意識した。私自身よりも、特にホレイショー役の牧島さんとかが、私の体に触れるお芝居がわりとある。そこが少し遠慮させてしまうかな、という心配はあったりして」と説明。とはいえ「今回は女性である私が(ハムレット)演じるからこその、女性としての身体機能を逆手にとった演出を受けている。そこはぜひ楽しみに見ていただければ」とアピールした。

 吉田は殺陣に苦戦したことにも言及。「普段、殺陣をやって生きてないので」と言い、「股関節の鍛え方を稽古場で伝授していただいた。その日から毎日やってる。明日からの本番に臨みたいです」と述べた。ENCOUNT編集部