1話から主人公が死んでいた名作アニメ

 アニメや漫画では、主人公が死ぬ展開が描かれることがある。しかし、1話目でいきなり主人公が死ぬ作品は少ないだろう。今回は、そんな衝撃的な1話が話題になったアニメ3選を紹介する。

 1作目に紹介するのは、2022年にアニメ放送された『チェンソーマン』だ。原作漫画(作:藤本タツキ)は第1部が『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、現在は第2部が『少年ジャンプ+』(集英社)で連載中である。

 主人公のデンジがチェンソーマンに変身し、悪魔と戦うストーリー。アニメ第1話では、デンジは死んだ父親の借金を返すため、唯一の友達であるチェンソーの悪魔・ポチタとともに非正規デビルハンター(悪魔を退治する仕事)としてヤクザに雇われていた。しかし、デンジはヤクザに裏切られて殺されることになる。

 ある日ヤクザに廃工場に連れられたデンジとポチタは、ゾンビの悪魔によってゾンビにされてしまったヤクザたちに、身体をバラバラに切り裂かれて殺されてしまう。しかし、ポチタが自身の心臓をデンジに渡すことで、デンジはチェンソーマンの力を手に入れて復活を遂げるのだ。

 突然訪れるデンジの死や、デンジを救うためにポチタが犠牲になる展開に、SNS上では「1話の急展開3日くらい引きずって思い出し泣きしてる」「ポチタの死が悲しくて2話に進めない」などのコメントがあがっている。

 2作目は23年にアニメ放送された『【推しの子】』だ。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)と『少年ジャンプ+』で連載中の原作漫画(原作:赤坂アカ、作画:横槍メンゴ)も人気を博している。

 90分の拡大版で放送されたアニメ第1話は、原作漫画での序盤屈指の衝撃展開を一気にアニメ化した。

 産婦人科医の雨宮吾郎は、偶然、自身の推しアイドルである星野アイの担当医となる。世間には秘密で出産しようとするアイをサポートをする吾郎だが、アイの出産予定日に何者かにより殺されてしまう。その後、彼はアイが出産した双子の子どものひとりであり、本作の主要人物でもある星野愛久愛海(通称アクア)として記憶や知識を受け継いで生まれ変わることになった。

 ここまでの展開でもかなり衝撃的だが、まだ終わりではない。

 アイが所属するアイドルグループ「B小町」は人気となりドーム公演が決定する。しかし、ドーム公演当日の朝、アイは、彼女の子どもの存在を知ってショックを受けたファンにより、ナイフで腹部を刺されて殺されるのだ。

 その後、アクアがアイ殺しの真犯人を見つける覚悟を決めるところまでが、本作第1話で一気に描かれた。

 吾郎のアクアへの転生、さらにアイの死まで描いた濃密な1話に対し、SNS上では「こんなに怖いアニメだったの?衝撃で言葉失った」「初回でここまで一気にアニメ化は神」とコメントがあがっている。

 最後に紹介するのは、1992年にアニメ化された『幽☆遊☆白書』だ。原作漫画(作:冨樫義博)は『週刊少年ジャンプ』で連載され、アニメだけでなくNetflixでの実写ドラマ化まで果たした90年代を代表する人気漫画である。

 主人公の浦飯幽助が霊界探偵となり、人間世界で悪事を働く妖怪と戦いを繰り広げるバトル作品だが、アニメ第1話では浦飯が死ぬ展開が描かれている。

 不良中学生の浦飯は、ある日車に轢かれそうな子どもを庇い、自身が車に轢かれて死んでしまう。アニメが始まって30秒で死ぬ主人公は珍しいだろう。

 幽霊となった浦飯は、霊界案内人・ぼたんの説明により、試練を受けて生き返ることも可能だと知らされても、生き返りたいと思うことはなく、自身の死を受け入れていた。しかし、第1話後半で描かれている自身のお通夜を見て、心が揺り動かされる。

 お通夜では、悪友・桑原和馬や、幼馴染の雪村蛍子が悲しみに暮れている描写があり、この様子を見た浦飯は生き返る試練を受ける決心を固めるのだ。

 また、お通夜シーンについてはSNS上でも「お通夜のシーン見る度に毎回涙出る」「普通に泣いた。桑原ええわ」と感動するファンの声が多くあがっている。

 今回紹介した3作品は、どれも1話から作品の世界に引き込まれてしまう演出がある名作アニメではないだろうか。まだ見たことがない作品があればぜひ1話の衝撃を体験してほしい。カキMONO.1