自分にあう痩せ方を見つける『マイダイエットメソッド』を主宰しています、管理栄養士で、おうちごはん研究家の金丸利恵です。

美肌やダイエットなど外見はもちろん、アレルギー体質の改善、免疫力アップ、精神的な安定等、内面的な健康にも、腸内環境は大きく影響しています。

それゆえ、麹やヨーグルトなどの発酵食品や、善玉菌の餌になるオリゴ糖、食物繊維を多く含むものを日常的に食べる「腸活」が大人気です。続けてみて、便通や肌の調子が良くなった、と改善に向かう方が多いのですが、中には食後にお腹が張る、おならが多く出る、便通が悪くなった、といったトラブルが出る方もいます。



腸に良いとされてるものを食べているのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。その症状はSIBO(シーボ)の可能性が考えられます。

■SIBO(シーボ)とは
SIBO(小腸細菌過増殖症)は、小腸内に過剰に腸内細菌が増殖する状態です。腸内細菌は主に大腸に存在し、小腸には少ないのですが、何らかの原因でバランスが崩れると、細菌が小腸内に増殖してしまいます。大腸の細菌叢は発酵によりガスを発生しますが、小腸はガスに耐える構造をしていないため、腸粘膜の炎症やバリア機能が低下し、さまざまなトラブルを引きおこすのです。



SIBOの主な症状は以下です。
・食後の腹部膨満感、ハリ
・胸やけ、腹痛
・過剰なおならやげっぷ
・下痢もしくは便秘
・うつ、メンタルの低下
・不眠
・肌荒れなど
・逆流性胃炎 など

過敏性腸症候群の方は、多くの割合でSIBOがみられると言われます。症状は様々ですが、食後膨満感が多く、何か特定の食品を食べた後に、お腹が張る場合もあります。思い当たることがあったら、食べたものを書き出してみることから始めましょう。

なぜSIBOになるの?
SIBOの原因はさまざまですが、代表的なものをピックアップします。

・小腸の出口の弁が緩んで、大腸から細菌が流入してしまう。
・制酸剤(胃酸を抑える薬)や抗生剤を長期的に服用している。
・胃のピロリ菌感染がある。
・加齢により胃の働きが低下する。
・ストレスが多い。
・生活が不規則である。
・腸内環境が悪化している

食べたものは口から胃を経由し、腸に入っていきます。消化を助ける胃酸や胆汁殺菌力も備えており、制酸剤の長期服用や、ピロリ菌の感染、胃や肝臓の働きが悪いなどの理由で消化液の分泌が不十分だと、殺菌効果が薄れ、菌が小腸内で増殖することに繋がります。また抗生剤の長期服用も善玉菌を殺菌してしまい、耐性の強い悪玉菌が増えてしまう原因に。

小腸の弁のゆるみや、加齢による機能低下は予防が難しいところではありますが、胃酸分泌や腸内環境は自律神経と関わりが深く、ストレスの影響を受けやすいです。

多忙すぎる毎日、欠食やムラ食い、ドカ食いや早食いも、消化不良の原因に。食べ方や、生活習慣の見直しが大切ですね。



■SIBOの症状を良くするために、覚えておきたい「低FODMAP食」

消化管で発酵を起こしやすい食品の頭文字をとったものがFODMAP(フォドマップ)といい、これらを避けた食事を続けることでお腹の張り、膨満感などが軽減することがあります。

<FODMAPとは>
F(発酵性の) 糀、納豆、キムチなど
O(オリゴ糖) 小麦、大麦、タマネギ、ニンニク、ゴボウ、レンズ豆などの豆類
D(二糖類) 乳糖:牛乳、ヨーグルトなど
M(単糖類) 果糖ブドウ糖液糖、果物、はちみつなど
A(and)
P(ポリオール (Polyols) 糖アルコール: 人口甘味料、ソルビトール(りんご、洋ナシ、アプリコット、ガムキシリトールなどに含まれる)やマンニトール(キノコ、カリフラワー、ブロッコリーなどに含まれる)



高FODMAP食材(避けるもの)

【穀類】
小麦製品全般、大麦(もち麦、押し麦も)パン、パスタ類全般、うどん、そうめん、ラーメン、小麦が入ってるそば、ケーキ、パンケーキ、焼き菓子類など

【乳製品】
牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、クリームチーズ、カッテージチーズ、生クリーム、アイス、コンデンスミルクなど

【野菜類】
タマネギ、ニラ、セロリ、ニンニク、ゴボウ、カリフラワー、アスパラガス、サツマイモ、里芋など

【豆類】
大豆、大豆製品、ひよこ豆、あずき、レンズ豆、納豆、きなこ、豆乳など

【キノコ類】
シイタケ、マッシュルームなど

【果物】
りんご、なし、さくらんぼ、ブドウ、パイナップル、オレンジ、柿、すいか、アボカド、モモ、グレープフルーツ、ドライフルーツなど

【調味料】
砂糖、はちみつ、オリゴ糖、人口甘味料(ソルビトール、キシリトール)、ブドウ糖果糖液糖、トマトケチャップ、固形スープの素、カレールウ、シチュールウなど

【飲み物】
フルーツジュース、ウーロン茶、カモミールティー、チャイ、甘いワイン、ラム、カクテル系、エナジードリンクなど


■どういう食生活を送ればいいの?

りんごやアボカド、きのこ、発酵食品など、カラダに良いとされてるものが、腸内環境を悪化させるというのがSIBOのやっかいなところです。症状に悩んでる方は、難しく考えないで「試してみよう」という気持ちで挑戦するのが良いと思います。取り組みやすい方法についてお伝えします。

①ごはん、みそ汁を基本に、主菜と副菜を揃える。
小麦製品であるパン、麺、焼き菓子類はしばらくお休みし、お米を主体とした和食を食べましょう。
発酵食品でもみそは使ってよい調味料。季節の野菜で、かつ高FODMAPでないものを具材に選べば良いでしょう。根菜はオリゴ糖が多いので避け、小松菜、ほうれん草、白菜、キャベツなどの葉物や、ワカメ、めかぶなどの海藻類がおすすめです。

②肉や魚はシンプルな味付けと調理法で。焼く、蒸す、煮るを中心に。
焼き肉のタレ、ポン酢、めんつゆ、○○のタレのような、甘みのある合わせ調味料は、人口甘味料が含まれる場合があります。塩、しょうゆ、みそ、酢などの基本調味料でシンプルに味付けしましょう。甘みはみりんやメープルシロップを活用すると良いです。

③スイーツ、人口甘味料、発酵食品、乳製品、精製糖質、高脂肪食品はしばらくお休みを。
精製糖質、高脂肪食品は消化吸収に負担がかかるので、菓子パンや麺類、揚げ物は控えめに。アイスや生クリームが入ったスイーツ、ヨーグルトなども、お腹が張るときは避けます。食べられるものが少なくなっちゃう、と心配かもしれませんが、食材を選ぶ基準が変わると、今まで食べたことのないものを試すことにより、逆に食べられるものの幅が広がりますよ。

症状が強い人は、専門医を受診し、本格的な治療をお勧めします。ですが、高FODMAPを避けた食事を2週間継続すると、良い体感がある方が多いです。それ以降は少しづつ野菜やキノコなどを試し、食べても症状がでない食品を見つけていきましょう。食事は毎日のことなので、完璧を目指さず、無理のない範囲で行ってみてください。

今回は低FODMAP食品を使用した、メインになるボリュームサラダをご紹介します。塩コショウの味付けに飽きちゃった、もの足りない…というときの献立にいかがでしょうか?少量のマヨネーズを使ったタルタル風ドレッシングで満足度アップ。乳製品も基本NGですが、パルメザン、ブルーチーズなど、硬めのチーズは低FODMAP食なので、風味付けにお使いいただけます。魚も野菜もバランス良く食べられる1品です。




■「鮭と野菜の焼きサラダ」の作り方

調理時間 20分
レシピ制作:金丸利恵


鮭と野菜の焼きサラダ
鮭と野菜の焼きサラダ

【材料】(2人分)

生鮭 2切れ
  塩 適量
  コショウ 適量
片栗粉 適量
カブ 1個
カブの葉 1本分
赤パプリカ 1/2個
カボチャ 100g
塩 少々
オリーブ油 小さじ 2
<ソース>
  ゆで卵 1個
  酢 大さじ 1
  マヨネーズ 小さじ 2
  パルメザンチーズ 小さじ 1
  バジル(ドライ) 少々
  塩 少々


【下準備】

1、カブは皮を剥いて8等分の串切りにする。葉の部分は5cmくらいに切る。

鮭と野菜の焼きサラダの下準備1

2、カボチャは5mmくらいの薄切りにする。

3、パプリカはヘタと種を取り除き、1cmの幅に切る。

4、ゆで卵は殻をむき、粗く刻む。


【作り方】

1、生鮭は骨をとり、1枚を4等分にする。両面に塩、コショウを振り、下味をつけたら片栗粉をまぶす。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方1

2、フライパンにオリーブ油を入れ、中火にかける。温まったらカボチャを入れる。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方2

3、カボチャに焼き色が付いたらひっくり返し、他の野菜を入れる。全体に塩少々を振る。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方3

4、蓋をして、野菜が柔らかくなるまで焼く。途中蓋を開けて野菜をひっくり返す。焼き色がついたら皿に取り出す。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方4

5、(4)のフライパンに、(1)の鮭を入れ、両面をこんがりと焼く。

6、ボウルに<ソース>の材料をいれ、混ぜ合わせる。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方6

7、(4)の野菜と(5)の鮭を器に盛り、(6)のソースをかける。

鮭と野菜の焼きサラダの作り方7




栄養成分 1人分
エネルギー 335kcal
たんぱく質 20.2g
脂質    21.9g
炭水化物  20.3g
食塩相当量 1.5g




(金丸 利恵)