地域のシンボルでもある、駅のにぎわいを取り戻そうと、南相馬市小高区では、新しい取り組みが始まっています。

無人駅を、人が集まる場所に…そんな夢を持った男性を取材しました。

南相馬市にあるJR常磐線の小高駅。

駅舎を入ると…小高オリジナルのグッズやお土産、それに文房具など、約100点の商品が並んでいます。

さらに!お店があったかと思えば、今度は、大きなタンクまで!

実は、小高駅には今、お酒やノンアルコール飲料などを製造する醸造所があるんです。

2024年2月にオープンしました。

無人の駅舎に醸造所を作るのは、全国でも珍しく、日本初の取り組みだそう。

■haccoba 代表 佐藤 太亮 さん

「電車とお酒の相性が良いので、ツーリズムもできやすい場所。これでお酒とノンアルコールで「コンブチャ」という発酵ドリンクを作る予定」

手がけるのは、5年前に南相馬市に移住してきた佐藤 太亮さん。JR東日本水戸支社と連携して開業しました。

もともと、埼玉県出身の佐藤さんは、震災と原発事故の影響で一時、人口が0になった小高を再興させようと、新ジャンルのお酒を造る「haccoba」を立ち上げました。

■haccoba 代表 佐藤 太亮 さん

「造ったお酒と料理を楽しんでもらうようにして、地域内の人、外から来た人も含めて、一回コミュニティが断絶した地域で、新しく人が集うようなコミュニティの拠点として機能を果たせたらなという思いで」

「haccoba」には、バーも併設されていて、地域の人たちが交流できる拠点にもなっています。

小高ににぎわいを取り戻そうと、活動する一方で、佐藤さんには、ある思いがあります。

■haccoba 代表 佐藤 太亮 さん

「小高のまちを見ると、駅はシンボル、駅舎がまちのメインストリートの真ん中にあるので、人の気配がなくなるのは寂しい」

震災と原発事故の前は、1日800人を超える利用者がいた小高駅。

ただ、駅が再開した2016年以降は利用者が戻らず、2020年3月からは駅員のいない無人駅となりました。

寂しさを感じながらも、「小高のために何かできないか」そう感じていたと言います。

■haccoba 代表 佐藤 太亮 さん

「自分たちがここで新しい事業をやることで、明かりを灯して、人が集う場所にできれば面白い」

小高駅にある醸造所には、ショップのほか、飲食やイベントなどができるフリースペースもあります。

新たなスポットの誕生に駅の利用者も期待を寄せています。

■駅の利用者は

「この通りも色々店も再開して、新しい店もできる中で、また一つこういうスポットが駅にできるのは、まちが賑わうのではないかと思う」

■駅の利用者は

「きょう初めて来て、すごい素敵だなと思った。もっと認知されれば、ここを目当てに人が来くるんじゃないかなと思う」

無人の駅から、人の賑わいを生み出すー

佐藤さんの挑戦は、始まったばかりです。

■haccoba 代表 佐藤 太亮 さん

「いま駅員がいないという意味では、無人だと思うが、人がたくさん集うという意味で、有人の駅にできたらいいなと思う」