親の死後、実家を相続したけれど、遠方にある場合などの理由で放置してしまった場合、空き家になった家の固定資産税が高額になってしまう場合があることはご存じでしょうか。住居は住んでいる人がいないと手入れしにくく、維持管理費用もかかります。   本記事では、空き家の維持管理費用の負担が軽くなりそうな制度を紹介します。

実家が空き家になった場合のデメリットは?

総務省統計局「平成30年度住宅・土地統計調査」によると、居住世帯のある住宅は5361万6000戸で、そのうち空き家は848万9000戸でした。住宅が空き家になった場合のデメリットとしては「住宅の劣化が早く進んでしまう」「樹木や雑草などが生い茂り、環境が悪化する」などがあげられます。
 

維持管理費はどのぐらいかかるの?

住宅の維持管理には、主に固定資産税・都市計画税(地域によって課税)と、火災保険・住宅修繕費・光熱費などで年間数十万円程度かかります。空き家が遠方にある場合には、所有する人が住宅の維持(草刈りや掃除など)に行くための交通費もかかってきます。
 

空き家を放置した場合の固定資産税はいくら?

空き家を放置したままで今後住む予定がなく「特定空き家」になった場合には、固定資産税の「小規模住宅用地の特例措置(税負担を6分の1に軽減)」などが適用されなくなります。
 

<試算>

空き家の敷地面積が200平方メートル以下の小規模住宅用地で、課税標準額が建物600万円、土地1000万円だった場合の固定資産税見込み額(都市計画税は除きます)
 
(1)小規模住宅用地の特例措置が適用される場合(1000円未満切り捨て)
 
建物600万×税率1.4%=8万4000円
土地1000万×1/6(住宅用地の特例措置による減額)×税率1.4%=2万3000円
8万4000円+2万3000円=固定資産税10万7000円
 
(2)小規模住宅用地の特例措置が適用されない場合(自治体から勧告を受けた特定空き家)
 
建物600万×1.4%(税率)=8万4000円
土地1000万×1.4%(税率)=14万円
8万4000円+14万円=固定資産税22万4000円
 
このように、特例措置が適用されないと土地への課税額が6倍になってしまいます。
 

空き家の維持管理費用を軽くする制度はあるの?

自身での空き家の維持管理が難しい場合、宅地建物取引業者または管理業者による空き家管理サービスを依頼するのも1つの方法です。自治体によっては、空き家管理費用や空き家解体費用の補助金を出しています。
 

<導入例>

(1)山口県下関市:最大12ヶ月間、空き家の外観調査を含む管理業務に毎月最大2000円、内部換気をあわせて行う場合は毎月最大5000円を補助
 
(2)東京都葛飾区:最大24ヶ月間、空き家全般の見回りおよび建物の通風・換気等の管理の費用を年間上限2万円助成。管理委託助成を受けている期間内に樹木のせん定を行った場合は1回限り上限1万円を受けることも可能
 
(3)岩手県北上市:一定の条件を満たす高齢者(70歳以上)が、空き家を解体撤去する場合に費用の3分の2の額(上限額70万円)を補助

 

まとめ

相続した家の維持管理にはさまざまな費用がかかり、放置すると固定資産税も増額されてしまうこともあるので、早めに対策を検討するのがよいでしょう。維持管理費用補助金制度の有無や適用される要件などは自治体によって異なるので、事前に問い合わせることをおすすめします。
 

出典

総務省統計局 平成30年度住宅・土地統計調査

愛知県名古屋市 土地の評価と税負担について 

愛知県名古屋市 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)の計算例

山口県下関市 空き家管理費用の一部を補助します

東京都葛飾区 空き家適正管理助成制度

岩手県北上市 空き家の解体、改修、整備、取得の費用を補助します

  
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー