「家の前に犬のフンがあった」という経験はありませんか。家の前にフンが放置されていたら、よい気分はしませんよね。犬の汚物の後始末は、飼い主の義務です。それでは、その義務を怠った場合には、どのような罰則があるのでしょうか。   本記事では、犬のフンを放置した場合に考えられる法律違反や条例違反について詳しく解説します。

犬のフンを放置したら法律違反?

犬のフンを放置した場合は、法律違反になる可能性があります。例えば、「軽犯罪法第1条第27号」では、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」は、拘留または科料に処すると定められています。そのため、自宅前に犬のフンを放置することが、公共の利益に反すると判断されれば、軽犯罪法違反になる可能性があるでしょう。
 
また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の「廃棄物処理法第16条」には、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と記載されています。廃棄物とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」のことです。犬のフンは廃棄物にあたるため、法律違反になる可能性があります。この第16条に違反した者は、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています。
 

犬のフンを放置したら条例違反にもなる?

犬のフンを放置した場合、条例違反になる可能性もあります。条例とは、普通地方公共団体の区域内で適用される自治立法のことです。犬のフンに関して条例を制定している地方公共団体の区域内で適用されるため、その区域内で犬のフンを放置した場合は、条例違反になり罰則を科されることもあります。
 
例えば、千葉県船橋市では、「船橋市動物の愛護及び管理に関する条例第6条第2項第2号」で、「犬を道路、公園その他の公共の場所において移動し、又は運動させるときは、当該犬が排せつしたふんを処理するための用具を携行するとともに、当該ふんは、当該用具を使用して、直ちに当該場所から除去し、当該犬の飼養をする施設に持ち帰ること」と定めています。そのため、船橋市内で犬のフンを道路や公園、その他の公共の場所に放置した場合は、この条例に違反することになるでしょう。
 
また、新潟県長岡市では、「長岡市生活環境の保全及び美化に関する条例」において、「犬・猫などの飼い主が、所有、占有または管理する土地または建物以外で、飼い犬等のふんなどを放置し生活環境を汚すこと」を禁止行為としています。違反した場合は、その事実(行為や氏名等)の公表や過料を科す場合があると示されています。
 

犬のフンを放置されたら、損害賠償を請求できる?

「民法第718条動物の占有者等の責任」では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」と定められています。犬のフンによって損害をかぶったと証明できれば、慰謝料などの損害賠償を請求できるかもしれません。
 

犬のフンを放置することは法律・条例違反の可能性あり!

犬のフンを放置することは、法律や条例に違反している可能性があります。しかし、飼い主を特定し違反を証明することは難しく、罰則や損害賠償を求められない場合も多いでしょう。そのため、まずは犬のフンを放置させないように対策することが大切です。地方公共団体で無料配布されている犬のフン害防止啓発用看板や防犯カメラの設置、木酢液の散布、イエローチョーク作戦などを試してみてはいかがでしょうか。それでも改善されない場合は、市や警察に相談することをおすすめします。
 

出典

e-Gov法令検索 軽犯罪法
e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
船橋市 船橋市動物の愛護及び管理に関する条例
総務省 条例及び規則
長岡市 生活環境の美化
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー