市の人口と議員報酬の関係性
全国市議会議長会が毎年公開している調査結果によると、市の人口が増えると、議員報酬も高くなる傾向にあります。具体的な内容を、表1にまとめます。
表1
※全国市議会議長会「市議会議員報酬に関する調査結果(令和4年12月31日現在)」をもとに筆者作成
こちらの表を見ると、市の人口が5万人未満の場合、議員報酬は、最高額・最低額共に大きく減少していますが、人口が5〜40万人未満の規模であれば、最高額は、それほど変化はありません。ただし、最低額については、人口が減少すれば、報酬額も減少する傾向にあるといえるでしょう。
議員報酬が勤労者世帯主の定期収入よりも低く、収入面から考えると、議員になるメリットが少ない地域は存在します。
議員報酬ベスト5・ワースト5の顔ぶれ
ここでは、全国市議会議長会による市議会議員報酬に関する調査結果をさらに詳しく見て、議員報酬のベスト5とワースト5をまとめます。なお、今回の調査は、全国815市を対象として、令和4年12月31日時点の結果がまとめられています。
議員報酬ベスト5
議員報酬のベスト5は、表2の通りです。
表2
※全国市議会議長会「市議会議員報酬に関する調査結果(令和4年12月31日現在)」をもとに筆者作成
議員報酬ベスト5の顔ぶれを見ると、福岡県北九州市以外は、人口100万人を超える市になります。
議員報酬ワースト5
議員報酬のワースト5は、表3の通りです。
表3
全国市議会議長会「市議会議員報酬に関する調査結果(令和4年12月31日現在)」をもとに筆者作成
議員報酬のベスト5の市と比べると、その額は3分の1以下となっており、市によって、議員報酬の金額に大きな差があります。
無投票当選の問題とは?
定員割れや無投票当選には、どのような問題があるのでしょうか。立候補すれば、全員が当選してしまうため、候補者がどのような政策を掲げていても構わない状態になります。有権者の声が反映されず、議員が暴走してしまう可能性が生じます。
一方で、市議会議員よりもさらに低い議員報酬の町村議会議員を中心に、議員のなり手不足の現状と対策について、まとめた資料があります。参議院常任委員会調査室・特別調査室の資料です。これによると、議員定数を削減して、議員報酬を増やした自治体があります。ただし、定数の削減には、議員一人当たりの負担の増加や、住民と議員の距離感が広がった結果、新人が当選しにくくなるという弊害があります。
地方議員の活動環境に関して、頭を悩ませている自治体は少なくないようです。
まとめ
ここまで、無投票当選や定員割れが生じている市議会の現状と、なり手不足の一因であろう議員報酬についてまとめました。地方自治は本来、そこに住む方たちにとって身近なものです。無投票だったので、選挙が行われなくてよかったなどとは思わずに、日ごろから政治に関心を持って、議員が適切に仕事をしているかを、チェックするようにしましょう。
出典
全国市議会議長会 市議会議員報酬に関する調査結果(令和4年12月31日現在)
参議院常任委員会調査室・特別調査室 地方議会議員のなり手不足の現状と対策― 町村議会議員を中心に ― 佐藤研資(総務委員会調査室)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー