厚生労働省の令和4年「賃金構造基本統計調査」を見ると、日本の平均月収は31万1800円、単純計算で年収374万1600円でした。地域によって物価差があるため、一概にはいえませんが、年収1000万円は日本の平均年収と比較して高収入といえます。ただ、子どもがいる家庭の場合は生活費などのほかに、子育てにかかる費用も必要です。   そこで本記事では、ゆとりをもって子育てをするのに必要な収入がどの程度なのかを解説します。

0〜6歳までの子育てにかかる費用

厚生労働省の「子育て世帯の就労状況及び経済的負担等に関する資料」を参考に、0〜6歳までの子育てにかかる費用の平均額を確認してみましょう。
 

妊娠や出産なども含めた0歳児にかかる費用は約50万円

妊娠中にかかる費用の平均額は4万8849円、出産にかかる平均費用は45万4833円、合わせて50万3683円です。これらの費用には、マタニティウエア、妊娠中の運動・学習にかかる費用、家事や育児補助などを利用する場合の費用なども含まれています。そのため、そういったサービスを利用するかどうかによって、費用を抑えられる可能性もあるでしょう。
 

1〜6歳までにかかる費用は約341万円

具体的にそれぞれの年齢でかかる費用を挙げますと、1歳46万4774円、2歳51万4841円、3歳51万6308円、4歳62万316円、5歳65万9349円、6歳63万4241円です。
 
これらの費用には習い事や通信教育、ベビーシッター代、お小遣いなども含まれています。成長するにつれて習い事や通信教育などをするケースが多いです。習い事の費用は1〜2歳までは1万円以下ですが、3歳以降にそれぞれ2〜4万円台という費用がかかっています。
 

子育て世帯の多くが共働き

厚生労働省が発表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、少子化は依然として右肩上がりとなっているのが現状です。子どものいる家庭はわずか18.3%となっています。子どものいる世帯でも、子どもが1人のみというケースが9.0%と最多であり、2人いる世帯は6.9%、3人いる世帯は2.3%です。
 

妻も働いている家庭が70%超え

子どもがいる世帯における妻(母)が働いている割合は75.7%でした。ただ、75.7%のうち、非正規雇用の割合が36.4%であり、正社員として雇用されている割合はそれよりわずかに少ない30.4%となっています。
 
18年前の2004(平成16)年頃に仕事をしている妻(母)の割合は56.7%でしたが、時代の変化とともにその割合は徐々に増えています。2019(令和元)年からは70%を超えており、正社員として雇用されている割合が上昇しています。
 

子どものいる世帯の平均年収は約785万円

同調査では、子どものいる世帯の平均年収は785万円でした。前年度と比較すると30万円前後減少していますが、過去の平均年収においても700万円前後となっているため、この金額が子育てをするために必要な最低ラインといえます。このことから、住んでいる地域や環境による違いがあるという前提ですが、年収1000万円を得ていれば、ゆとりのある子育てができるでしょう。
 

子どものいる世帯の平均貯金額で人数割合の最多は500〜700万円

平均年収のほかに、子育て世帯の貯金事情についてもチェックすると、85.5%が「貯金がある」と回答しています。平均貯金額で最も多いのは500〜700万円で12.5%、つづいて1000〜1500万円で10.7%、700〜1000万円で8.0%です。子育てするためには、できれば500万円以上の貯金ができる収入を得ていることが望ましいといえます。
 

年収1000万円あれば余裕のある子育てができる

住んでいる地域や環境によりますが、子育て世帯の平均年収は約785万円となっており、年収1000万円あれば余裕のある子育てができる可能性が高いです。また、子どものいる世帯の約90%が貯金をしており、平均貯金額で最も多いのは「500〜700万円」です。可能であれば夫婦ともに正社員として働き、世帯年収800万円以上を目指すのが望ましいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 1 一般労働者の賃金
厚生労働省 子育て世帯の就労状況及び経済的負担等に関する資料
厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー