労働者が有給休暇を取得したときは、実際に労働した場合と同じ扱いをされなければなりません。当然、発生する賃金についても同様のことがいえます。   しかし、日によって日給が異なる仕事に就いている場合、有給休暇分の日給はいくら発生することになるのでしょうか。   本記事では、有給休暇の際に賃金が発生する仕組みや計算方法について詳しくご紹介します。

有給休暇とは?

厚生労働省では、有給休暇は、労働者が心身の疲労を回復させるとともに、明日への活力を養い、ゆとりある生活を実現するために与えられるものとされています。6ヶ月以上勤務しており、全労働日の8割以上出勤していることを条件として、雇用形態に関係なくすべての労働者に付与されます。
 
労働基準法によると、有給休暇を取得した日の賃金について「平均賃金、通常の賃金、またはこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない」とされています。
 

有給休暇中の賃金の計算方法

厚生労働省「平均賃金(労働基準法第12条)」によると、有給休暇中の賃金として平均賃金を支給する際は、直近3ヶ月間に支払われた賃金の総額を3ヶ月間(休日を含む)の総日数で割って計算するようです。
 
「支払われた賃金の総額」とは税金や保険料などが控除される前の総額のことで、時間外労働をした分の割増賃金や各種手当も含むものです。有給休暇中の賃金を通常の賃金で支給する場合は、労働基準法施行規則第二十五条が定める方法で以下のように賃金を算出します。
 

・時給:時給×その日の所定労働時間数
・日給:その金額
・週給:週給÷その週の所定労働日数
・月給:月給÷その月の所定労働日数

 

通常の賃金の支払いで日によって日給が異なる場合は?

年次有給休暇の賃金として通常の賃金で支給しており、時給制のパートなど日によって所定労働時間や労働時間帯が異なる場合は、有給休暇を取得する日の所定労働時間分の賃金が支給されることになります。
 
時間帯によって賃金の単価が変わる場合は、その日の所定労働時間の賃金単価によって支払われます。また、深夜の時間帯に労働する場合は、その分の割増賃金も含めて支払われなければなりません。
※出典:厚生労働省 長野労働局「年次有給休暇に関する相談Q3」
 

支払い方法によっては所定労働時間分の賃金が支払われる

有給休暇を取得した場合、休んでいても実際に労働した場合と同じように扱われなければなりません。
 
賃金については「平均賃金で支払われる」「通常の賃金で支払われる」「健康保険法上の標準報酬日額相当額が支払われる」など複数の支払い方法があるため、どの支払い方法が採用されているのか、就業規則を見ておくことが大切です。
 
通常の賃金で支払われていて、日によって日給が5000円だったり8000円だったりする場合は、その日の所定労働時間分の賃金が支払われることになります。深夜労働をした場合はその分の割増賃金も支払われる必要があるため、よく確認しておきましょう。
 

出典

厚生労働省
 愛知労働局 年次有給休暇のポイント 年次有給休暇を取得するための要件
 長野労働局年次有給休暇に関する相談 Q3
デジタル庁e−GOV法令検索
 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十九条九項
 労働基準法施行規則 第二十五条三項
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー