40代後半にもなると、自分の収入や貯金額の限界値もみえ始めてくるでしょう。老後生活をシミュレーションし、今のままでは必要な金額が用意できないと認識すれば、老後の生活に対してより不安が生じやすくもなります。貯金や年金が少ない人は老後の生活が維持できず、老後破産しかねません。   今回は、48歳で貯金が90万円しかない場合、どのようにすれば老後破産する可能性を下げられるのかを考えてみます。

老後の支出と必要な金額

まずは、統計データから老後に必要な金額を試算してみます。総務省統計局の「令和4年 家計調査」の結果によると、65歳以上の単身無職世帯の毎月の消費支出額は平均で約14万3000円となっています。可処分所得が約12万2000円のため、赤字額は毎月約2万1000円です。
 
ちなみに、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得と消費支出額の差も、マイナス2万2000円ほどと同程度でした。こうした状況から、一般的な高齢者世帯では、毎月約2万円の赤字となることがわかります。
 
注意しなければならないのは、高齢者世帯は持ち家率が高く、消費支出のうち住居にかかる費用が1万3000〜1万6000円程度しかない点です。賃貸物件に住んでいる高齢者は、毎月の赤字額が10万円程度になるケースも出てくるでしょう。
 

・90歳までに必要な金額

65歳で定年を迎え、そこから90歳まで生きると仮定します。毎月2万円の赤字ということは、25年間で600万円が不足する計算です。毎月の赤字が10万円の場合は、25年間の不足分は3000万円です。統計データからの単純な試算ですが、年金と貯金90万円のみでは、いずれにしても老後破産してしまう可能性が高いといえるでしょう。
 

老後に不安を抱えている人は多い

貯金額が少ないと、より老後に不安を覚えてしまうのも仕方がありません。しかし、そのような人は珍しくはない現状もあります。SBIエステートファイナンス株式会社は、持ち家がある50歳以上の男女200人を対象とした「老後資金に対する不安」に関するアンケート調査を実施しました。
 
同調査結果によると、老後の暮らしに「不安はない」と回答した人は、わずか9.0%となっています。「健康面で不安がある」と回答した51.5%の次に多かったのが、48.5%で「老後の生活資金について不安がある」という回答でした。老後の資金について、現時点で27.0%の人が「全く準備できていない」と回答しています。
 
また、公益財団法人の生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査」の結果によると、老後生活に対して「非常に不安を感じる」と回答した人は17.5%でした。「不安を感じる」とした人は27.3%、「少し不安を感じる」とした人は37.4%です。合計すると、82.2%もの人が、老後生活に対する不安を抱えていることになります。不安の具体的内容を尋ねたところ、「公的年金だけでは不十分」と回答した人が79.4%と、最も多い結果となりました。
 

老後破産を避けるためのポイント

老後破産の問題は、心配しているだけでは解決しません。ここでは、老後破産を避けるために取り組みたいことをまとめてみましょう。
 

・支出を見直す

何にいくら使っているのかといった生活費を精査し、支出を見直してみましょう。無駄を省き節約できれば、今からでも貯金額を増やすことは可能です。貯金が増やせるとわかれば、多少は不安を和らげられるでしょう。
 

・労働収入を得続ける

65歳で仕事をやめず、その後も働き続けることも視野に入れておきましょう。そのために健康に気をつけたり資格取得を目指したりするのも、老後破産を避けるための取り組みとしては重要です。
 

・投資による資産形成を目指す

長期間の運用による資産形成は困難であるものの、40代後半からでも投資による資産形成は目指せます。15年以上運用できれば、銀行の利息よりも多くのリターンが得られる可能性があるでしょう。
 

老後に向けて積極的に動き出せるかがポイント

統計データをみる限り、年金と貯金90万円では標準的な生活をしていたとしても、老後の生活は赤字となる可能性が高いでしょう。場合によっては、3000万円もの金額が不足するおそれがあります。とはいえ、心配ばかりしていても事態は好転しません。今からでも支出を見直し、投資による資産形成を目指してみましょう。65歳以降も仕事を続けられれば、貯金や年金が少なくても、生活が維持できる可能性が高まります。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
SBIエステートファイナンス株式会社 「老後資金に対する不安」に対してアンケート調査(PR TIMES)
公益財団法人生命保険文化センター 「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー