街で見かける指名手配犯のポスターの中には、懸賞金が付いているものがあります。これは、「捜査特別報奨金制度」に基づいて掲出されている手配書です。そのため、被疑者の検挙につながった情報の提供者には、「捜査特別報奨金」という懸賞金が支払われます。   本記事では、「捜査特別報奨金」が支払われるまでの流れと、当報奨金に税金がかかるのかどうかについて解説します。

「捜査特別報奨金」とは

民法第529条の「懸賞広告」に基づいて支払われる懸賞金を、「捜査特別報奨金」といいます。「捜査特別報奨金」の上限額は原則300万円ですが、特に必要と認められる場合には、1000万円を上限に増額されます。
 
ただし、個人が特定できない者、被疑者本人、警察職員、共犯者などは支払いの対象者から除外されています。それでは、情報提供から「捜査特別報奨金」が支払われるまでの流れをみていきましょう。
 

「捜査特別報奨金」が支払われるまでの流れ

「捜査特別報奨金」の対象になる事件や被疑者は、警察庁が指定します。指定されるのは、「警察庁特別手配被疑者に係る事件」「警察庁が重要と認めた被疑者」「社会的に反響の大きい特異または重要な事件」などです。
 
「捜査特別報奨金」の対象に指定されると、その情報が警察庁のウェブサイトに掲載されます。そのうえで、全国各地の掲示板などに、広く情報を求めるための手配書が貼られます。その後、被疑者が検挙された場合に行われるのが、関東管区警察局長か警察本部長による「捜査特別報奨金」の支払いに関する調査です。
 
この調査によって、寄せられた情報が被疑者の検挙に寄与したかどうかが判断されます。当該情報が検挙に寄与したことが確認されると、警察庁によって「捜査特別報奨金」の支払いの可否と、支払う場合にはその金額が決定されます。
 
なお、支払われる金額は、当該情報がどの程度検挙に寄与したかを勘案したうえで決定されるため、必ずしも全額が支払われるわけではありません。また、当該情報提供者が複数人いる場合は、当該事件の「捜査特別報奨金」を分割したうえで、それぞれの度合いに応じた金額が支払われます。
 
支払いは関東管区警察局長か警察本部長を通じて行われますが、具体的な支払い方法については明らかにされていません。それでは、「捜査特別報奨金」を得た場合、税金はどうなるのでしょうか。
 

「捜査特別報奨金」に税金はかかる?

「捜査特別報奨金」は、一時所得として課税対象になります。一時所得は、懸賞の賞金や公営ギャンブルの払戻金などにかかる税金です。そのため、「捜査特別報奨金」も、一時所得として税金がかかることになります。
 

・一時所得の計算方法

一時所得は、総収入金額から経費と特別控除額(50万円)を差し引いた金額です。例えば、「捜査特別報奨金」が300万円で経費が0円だった場合の一時所得は、250万円になります。なお、一時所得の納税額は、当所得の2分の1に相当する金額とその他の所得金額を合計した金額に、所得税率を乗ずれば算出できます。
 

指名手配犯に関する情報は必ず警察に伝えよう

「捜査特別報奨金」には、一時所得という税金がかかることが分かりました。ただ、重要なのは「捜査特別報奨金」に税金がかかるかどうかではなく、被疑者が検挙されて事件が解決することでしょう。そのため、「捜査特別報奨金」の対象かどうかにかかわらず、指名手配犯に関する情報を持っている場合は、必ず警察に伝達しましょう。
 

出典

e-Gov 民法
警察庁 捜査特別報奨金制度の実施
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー