ネットオークションやフリマアプリで購入したものが実は盗品だった、というケースが問題となっています。特に、3月には高級腕時計シェア「トケマッチ」の事件が話題になりました。この事件では預けた高級時計のロレックスが横領され、ネットオークションなどで売られていたのです。   それでは、購入したものが盗品だった場合は元の持ち主に返却しなければいけないのでしょうか? また、購入時の代金はどうなってしまうのかも気になるところです。   そこで本記事では、150万円でロレックスを購入したものの盗品だった場合、返却しなければいけないのか、また購入時の代金はどうなるのかについても解説します。

基本的に所有権は購入者に移る

ネットオークションやフリマアプリで購入した場合、所有権は購入者へと移ります。
 
購入したものが盗品の場合については、民法192条の「即時取得」によって購入者が盗品だと知らず、出品者が所有者であると信じていれば所有権は購入者に移ります。つまり今回のケースだと、オークションの購入者が盗品だと知らずにロレックスを購入した場合は、所有権はオークションの購入者に移るということです。
 

購入品が盗品の場合は元の持ち主を保護する必要がある

もっとも、購入品が盗品の場合は、「元の持ち主」も保護する必要があります。今回の事例ではロレックスを盗まれてしまった、本当のロレックスの持ち主のことです。
 
そこで元の持ち主を保護するために民法193条では、元の持ち主が盗難や逸失した日から2年間は新たな所有者に対して返却を求めることができるよう定めています。
 
そのため、元の持ち主は2年の間は購入者に対して所有権を主張し、返却を求めることが可能です。
 

150万円で購入したロレックスはどうなる? 購入代金は?

本事例のように、150万円で購入したロレックスが盗品だった場合は、元の持ち主が民法193条を理由に返却を求めてきた場合、返却しなければいけません。そのため、ロレックスを手放すことになります。
 
しかし、ネットオークションの購入者としては購入代金を支払っているので、代金の請求なしに受け渡さなければならないとしたら、納得できないでしょう。そこで民法194条では民法193条を根拠に返却を請求した場合は、「購入代金相当額を支払わなければ返却することができない」ことになっています。
 
つまり、本事例では元の持ち主がロレックスの返却を求めてきた場合、ネットオークションの購入者は元の持ち主にロレックスを返却することになります。しかし、その代わりとして元の持ち主からロレックスの購入に支払った150万円相当を受け取ることができます。
 

盗品を購入したとわかった場合は警察にすみやかに連絡しましょう

ネットオークションやフリマアプリは店舗に行かなくてもスマートフォンやパソコンでショッピングを楽しめるので、身近な存在になっています。しかし、出品されているものが盗品の場合はトラブルが発生する恐れがあります。
 
事例の場合では、元の持ち主が現れ、シリアルナンバーなどで所有権が認められる場合、返却請求には応じなければいけません。しかし、騙されて買ってしまったため、購入代金相当額を元の持ち主に請求できます。購入品は手元に残りませんが、購入代金相当額は返ってくるので、基本的に損をすることはないでしょう。
 
ニュースなどで横領や盗難があったことを見聞きした場合は、横領物や盗品がどのようなものなのか確認し、フリマアプリなどで購入しないようにすることが大切です。それだけでなく、万が一盗品を購入してしまった場合は、すみやかに警察に届けるなどの対応をするようにしてください。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー