多くの人は、「クーリングオフ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。一度、契約の申し込みや締結をした場合でも、契約を再考できるようにする制度です。   ただし、すべての申し込みが対象になるわけではありませんし、いつでも取り消せるわけでもありません。本記事で、「クーリングオフ」について見ていきましょう。

クーリングオフとは

特定商取引法では、クーリングオフの期間と販売方法が決まっています。
 

<期間が8日間の場合>

 
■訪問販売
街頭で声をかけるキャッチセールスや、電話などで「プレゼントが当たった」などといった呼び出しにより、別の高額商品を契約するアポイントメントセールスも含みます。
 
■電話勧誘販売
 
■特定継続的役務提供
継続的なサービスです。エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされています。
 
■訪問購入
「貴金属を買い取ります」などの電話がかかってきて、買い取り業者が自宅を訪ね、査定して買い取るサービスのことです。クーリングオフによって、品物の引き渡しを拒めます。
 

<期間が20日間の場合>

 
■連鎖販売取引
「あなたは定価の3割引きで買えます。あなたがお友だちに定価の1割引きで売れば、その差額がもうけになります」「あなたのお友だちが入会すれば、あなたに入会金の50%をキャッシュバックします」などと勧誘してきます。
 
あなたが勧誘に応じるために、1円以上の負担が生じる場合、それは連鎖販売取引です。
 
■業務提供誘引販売取引
・パソコンとソフトの購入と引き換えに、在宅ワークを紹介される内職商法
・布団を購入し、その感想を販売業者に伝え、モニター料を受け取るモニター商法
 
なお、以上の販売方法でも取引によっては対象外となることもあります。
 

クーリングオフの期間はいつから?

クーリングオフの期間は、申込書面か契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から数えます。なお、申込書面や契約書面に不備がある場合、先述の期間を過ぎていても、クーリングオフができることがあります。
 

通信販売はクーリングオフの対象外

先述の販売方法に通信販売がないのは、クーリングオフの対象外だからです。もっとも、通信販売の業者が返品の可否や条件を特約として設けている場合には、特約のとおりに手続きします。特約がなくても、商品の受取日から8日以内なら返品できますが、返品費用は客の負担です。
 

クーリングオフの方法は?

クーリングオフは、はがきなどの書面かメールなどの電磁的記録によって行います。どちらの場合も、契約年月日・契約者名・購入商品名・契約金額等を明示します。そして、普段メールなどに発信日を書くことはないと思いますが、通知を発した年月日も明確に書きます。
 
なお、クレジット契約を利用していた場合、販売会社とクレジット会社の両方にクーリングオフを通知します。はがきで行う場合、その両面のコピーをとります。また、簡易書留や特定記録郵便などで発信日を手元に残します。普通郵便では、はがき上に消印は残っても発信日は手元に残りません。
 
電磁的記録で行うときは、まず契約書面を確認しましょう。具体的な方法が書いてありますので、それに従います。特定のフォームなどで通知した場合には、その画面をスクリーンショット(スクショ)して保存しましょう。
 

手続きを終えたあと、お金が戻ったか確認を!

クーリングオフは、通知して終わりではありません。払ったお金が戻ってきたかを、必ず確認しましょう。
 
また、商品は必ず返さなくてはなりません。業者の訪問購入の場合は、受け取ったお金を返し、渡した品物を戻してもらいましょう。
 

出典

国民生活センター クーリング・オフ
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役