営業職は顧客や取引先と直接やり取りを行い、自社の商品やサービスをアピールし、購入や契約に結び付ける仕事です。会社の利益に直結する仕事なので、とても重要な仕事であるといえます。しかし、営業職は給与が高そうだけれど、残業が多くて仕事がきついイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。   この記事では、営業職の給与と残業時間を他業種と比較し、気になる「時給」について解説します。

日本人の平均年収と営業職の年収の比較

表1が、dodaの統計をもとに作成した全職業の年代別と男女別の平均年収のデータです。表2の営業職の男女別の平均年収のデータと見比べてみてください。
 
表1 全職業の年代別と男女別の年収

平均 男性 女性
全年代 414万円 464万円 356万円
20代 352万円 377万円 329万円
30代 447万円 494万円 383万円
40代 511万円 585万円 410万円
50代以上 607万円 674万円 434万円

※dodaの統計をもとに筆者が作成
 
表2 営業職の男女別の年収

平均 男性 女性
456万円 486万円 391万円

※dodaの統計をもとに筆者が作成
 
dodaサービス登録者のデータによれば、サービス登録者の平均年収は414万円となっています。対して、営業職の年収は456万円となっており、営業職は他業種と比較して、年収は高めです。また、年収は、年代や男女の賃金差からも大きな違いが生まれることが分かります。
 

全職種の平均残業時間と営業職の残業時間の比較

オープンワーク株式会社がまとめた「日本の残業時間 定点観測」の「日本の全職種の残業時間の推移」によれば、2014年には月の平均残業時間が40時間を超えていたのに対し、2021年以降は24時間を下回っています。
 
残業時間が大きく減少したのは、働き方改革関連法の施行やコロナ過の影響が考えられますが、依然として残業が多い職種は存在し、残業時間は職種によって大きな違いがあります。
 
dodaが2023年4〜6月を対象に行った、月の平均残業時間の集計によれば、全体の職種で平均21.9時間です。その中で営業職にしぼると、人材サービスの営業は30.0時間、小売/外食の営業、医療機器メーカーの営業は29.3時間という結果になりました。営業職は上位にランクインしており、他の職種と比べて、残業時間が非常に長いことが分かります。
 
営業職は、外回りの多さで付随する事務仕事が遅れ、取引先との付き合いなどで、実際に残業時間が長くなる傾向にあるようです。残業時間が比較的短い職種としては事務職が知られていますが、営業職などの残業が多い職種は、時給に大きな影響を及ぼす可能性がありそうです。
 

営業職の給与を時給換算すればどれくらい?

厚生労働省が、令和4年に無期雇用かつフルタイムの労働者を対象に行った、職種別の平均賃金を時給換算したデータによると、全職種の平均賃金は1276円が基準値となっています。
 
全職種の平均時給の基準値に比べ、営業職の平均時給の基準値は、以下のようになります。

●自動車営業職業従事者           1284円
●機械器具・通信・システム営業職業従事者  1484円
●金融営業職業従事者            1320円
●保険営業職業従事者            1302円
●その他の営業職業従事者          1453円

5つの営業職の平均時給は約1369円なので、全職種の平均時給の基準値1276円と比べて、営業職は93円高いことが分かりました。
 

残業時間が長い営業職は時給換算で給与を見ることも大切

残業が多いイメージを持たれることが多い営業職ですが、統計によれば、実際に営業職は全職種と比較して残業は多く、残業時間の長さはイメージ通りのようです。
 
全職種の給与を時給換算したデータによると、令和4年の全職種の平均時給の基準値が1276円に対し、営業職は1369円と、平均とそれほど大きな違いが無いことが分かりました。
 
営業職を選ぶ場合は、契約内容を確認し、残業時間を元に給与を時給換算で考えて実質的な給与を正確に測る必要がありそうです。
 

出典

doda 平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)【最新版】
doda 平均年収ランキング(職種・職業別の年収情報)【最新版】
OpenWork 働きがい研究所 「日本の残業時間 定点観測」
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー