有給休暇を取得することは、労働者の権利です。   有給休暇を取得したときに支払われる給与が、どのように計算されているか気になる方もいるかもしれません。勤められている事業所によっては、有給休暇を取得すると手取り額が減る場合があるようです。有給休暇を取得して手取り額が減少すると、損をした気分になるかもしれません。   この記事では、有給休暇の給与計算方法についてご紹介します。有給休暇の仕組みを理解しておきましょう。

有給休暇の給与計算方法は3つある

一般的に有給休暇の給与計算方法は、3つあるといわれています。その計算方法によって、受け取る額も変わってきます。
 
就業規則などの定めにより、事業所ごとに決まっています。パートタイマー従業員やアルバイト従業員も1週間のうちの所定の労働日数があれば、正社員と同じように有給休暇を付与されます。
 
以下に3つの有給休暇の給与計算方法をご紹介します。
 

平均賃金

平均賃金は、過去3ヶ月における1日あたりの給与を利用して計算します。平均賃金により計算をする場合は、下記の式を比較して高い方を使用します。

●1日の労働時間が一定している場合
過去3ヶ月間の賃金の合計÷過去3ヶ月の労働日数×0.6

●1日の労働時間が一定していない場合
過去3ヶ月間の賃金の合計÷過去3ヶ月の暦日数

1日の労働時間が一定している場合の計算式はパートタイマー従業員、1日の労働時間が一定していない場合の計算式はアルバイト従業員に適用されることが多いようです。
 

通常の賃金

通常の賃金は、所定労働時間に労働をした場合に支払われる通常の給与のことです。
 
月によって定められた給与は、その金額をその月の所定労働日数で割った金額です。時間によって定められた給与は、その金額にその日の所定労働時間数をかけた金額です。
 
有給休暇の給与を計算する場合、通常賃金を採用している事業所が多い傾向にあります。
 

標準報酬日額

標準報酬日額は、労働者と事業所の間で締結される労使協定に基づいて健康保険法で定められているものです。
 
標準報酬日額は労働基準法施行規則で定められており、下記の式で求められます。
 
標準報酬月額÷30=標準報酬日額
 
標準報酬日額を基にする標準報酬月額には上限がありますので、人によっては通常の場合の給与と比較をすると、手取り金額が少なくなる場合があります。
 
この計算方法は、労使協定を締結して就業規則などに記載する必要があります。
 
ご自身が勤められている事業所の就業規則などを確認してみてください。
 

有給休暇の給与の計算方法によっては、手取り額が減る可能性がある

有給休暇の給与計算方法は3つあることが分かりました。
 
標準報酬日額を基にする標準報酬月額には上限がありますので、人によっては通常の場合の給与と比較をすると、手取り金額が少なくなる場合があります。
 
この計算方法は、労使協定を締結して就業規則などに記載する必要があります。
 
就業規則などを確認して、ご自身が勤められている事業所の有給休暇の給与の計算方法を確認してみてください。
 

出典

厚生労働省東京労働局 各種法令・制度・手続き 労働基準・労働契約関係 パンフレット 労働基準 労基法 しっかりマスター 有給休暇編(4ページ)
厚生労働省愛知労働局 年次有給休暇のポイント(3ページ)
厚生労働省 年金局 標準報酬月額の上限 厚生年金保険・健康保険の標準報酬月額の等級表 (2ページ)
デジタル庁 e-Gov法令検索 昭和二十二年厚生省令第二十三号 労働基準法施行規則 第二十五条 一,四,七
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー