会社では従業員がルールを守って毎日の業務に取り組むことが基本ですが、中にはルールを守らない従業員がいることもあります。   何度注意しても遅刻してくる部下に悩むケースもあり、場合によっては解雇したいと考える人もいるでしょう。週に最低でも1回遅刻する場合、解雇事由に該当するのでしょうか。   本記事では、従業員を解雇する場合の注意点などについて解説するので、気になる人は参考にしてください。

会社が一方的に解雇することは難しい

従業員が何度も遅刻してルールを守らないなら解雇したいと考えるかもしれませんが、実際には会社が「一方的に解雇する」のは難しいです。
 
これは、厚生労働省のホームページにも明記されており、労働契約法第16条によると、解雇には客観的に合理的な理由があって社会通念上相当と認められなければなりません。解雇するためには第三者から状況を見た際に、それなら解雇されても仕方ないと納得される理由が求められます。
 
解雇の具体的な理由はそれぞれの状況などで変わりますが、勤務態度に問題がある、業務命令や職務規律の違反を何度も繰り返すなどです。ただし、これらの問題を起こしたとしても1度だけで解雇できるわけではなく、さまざまな事情が考慮されて判断されます。
 
ただし、会社に与える損害などが非常に大きく、従業員が悪意を持って故意にやったなどと判断されると1回で解雇できることもあります。なお、解雇する際には合理的な理由があっても30日前には解雇予告が必要です。
 

会社側は従業員が態度を改めるように指導する必要がある

会社側は従業員が遅刻などを繰り返している場合、態度を改めるように指導する必要があります。
 
十分な指導ができていないと判断されると裁判などで不利に働く可能性も考えられるため、遅刻をしないように話し合いをしたり、改善策を提案したりする必要があります。指導していない状態で解雇することは、十分な対応をしていないと判断されるケースもあるので、指導した際には記録を残すなどの対策をしておきましょう。
 
解雇する際には、客観的に合理的で社会通念上相当と判断されることが求められますが、指導して従業員が抱えている問題を解決しようとした姿勢も大切です。
 

一定の場合は解雇が禁止されている

従業員が問題を繰り返していると解雇も視野に入れて考えるケースは多いでしょうが、一定の場合は解雇が禁止されています。解雇が禁止されている理由は、従業員が安心して働ける環境を守るためであり、条件に該当している状態で解雇すると法律違反などになるので注意してください。
 
解雇が認められていない一定の場合は、図表1のようなものです。
 
図表1

労働基準法 業務上災害の療養期間中とその後の30日間の解雇
産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇
労働基準監督署に申告したことが原因の解雇
労働組合法 労働組合の組合員を理由とする解雇
男女雇用機会均等法 従業員の性別を理由とする解雇
女性従業員の結婚・妊娠・出産・産前産後休業を理由とした解雇
育児・介護休業法 従業員が育児・介護休業を申し出た・取得したことを理由とする解雇

厚生労働省 労働契約の終了に関するルールを基に作成
 
これらに該当するなら企業側は解雇することが認められていないので、強引に解雇した場合は法律違反として裁判などに発展する可能性もあります。
 

まとめ

何度注意しても遅刻していて十分な指導もしているなら、解雇する合理的な理由と判断される可能性は高いでしょう。従業員を解雇する際には証拠として記録などを残しておけば、後から事情説明などに役立ちます。
 

出典

厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー