デンソー女子バレーボール部は本拠地を愛知県西尾市から福島県郡山市に移し、「福島デンソーエアリービーズ」として10月に誕生する国内最高峰「SVリーグ」に参戦する。市内の宝来屋郡山総合体育館がホームアリーナとなる。チーム関係者が17日、県庁で記者会見し発表した。スポーツを通して東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を後押しし、県内の競技力向上やにぎわい創出、地域経済活性化などに寄与する。


 現在のVリーグを主催するジャパンバレーボールリーグが都内で理事会を開き、リーグ編成を決めた。SVリーグは男子10チーム、女子14チームとなる。

 デンソーは2017(平成29)年に県、郡山市とホームタウンパートナー協定を結び、郡山市を第2本拠地として公式戦を開催してきた。コロナ禍前は1試合当たり2500〜3000人の観客が集い、ほぼ全シーズンでホーム戦チーム最多観客動員数を県内で記録している。県民のチームへの熱は高く、一層の盛り上がりが期待できるため本拠地移転を決めた。他チームの本拠地が大都市圏に集中し、地方に少ない点も考慮した。

 3年程度をめどに事務所やロッカールームを備えた練習拠点となる体育館を郡山市に新築する。U15(15歳以下)とU18(18歳以下)チームの保有もリーグ参加要件となっており、体育館の完成後、U15チームを西尾市から郡山市に移す。U18チームは数年後に新設する予定。県内にトップリーグの下部組織ができれば中高生年代の育成・強化や底辺拡大につながる。

 SVリーグの女子はレギュラーシーズンで44試合を戦う。初年度はホーム戦22試合のうち18試合を県内で実施する。宝来屋郡山総合体育館は現在、改修中のため、周辺市町村や福島市などでの開催を想定している。トップレベルの試合が繰り広げられ、県外からも多くのファンが訪れると見込まれる。

 県と郡山市は試合会場の確保や、選手との交流事業を通したスポーツへの関心アップでエアリービーズを支える。


■復興の一翼に

 記者会見に臨んだデンソーの山崎康彦副社長は、子会社のデンソー福島が2008年から田村市で操業している点に触れ、「福島の復興は企業の最重要課題の一つだ。スポーツの力で地域の連帯感を生む一翼を担いたい」と語った。内堀雅雄知事は「県民に大きな感動と希望を届けてほしい」と期待し、品川萬里郡山市長は「地域に根差したチームとして郡山で連戦連勝するよう祈念したい」とエールを送った。エアリービーズの辻健志監督、中元南主将、山口結可副主将が同席した。