女子バレーボールの強豪デンソーは愛知県西尾市から郡山市にホームタウンを移し、「福島デンソーエアリービーズ」の愛称で10月発足の国内最高峰「SVリーグ」に参戦する。東日本大震災・東京電力福島第1原発事故からの復興を後押しする―を本拠地移転の第一理由に掲げており、大英断に敬意を表したい。

 バスケットボール男子Bリーグ、プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグ、アイスホッケーのチームが郡山市に既に拠点を構えており、女子バレーボールを加えて4チームが集積する。スポーツ振興と地域活性化に結び付け、まちの魅力に磨きをかけるにはどうするべきか、官民を挙げた取り組みが問われる。

 本拠地移転が大きな影響を与えるのは必至だ。レギュラーシーズン44試合のうち、約20試合がホーム開催となる。従来、県内開催は4試合だったので約5倍になる。U15(15歳以下)とU18(18歳以下)チームも郡山市を拠点とすることから、選手やスタッフらの居住と観客来訪による定住・交流人口増、さらに宿泊、飲食、買い物などによる経済効果が期待される。練習拠点となる体育館などを約3年かけて新設するとしており、建設需要も生まれる。

 エアリービーズのメインアリーナとなる宝来屋郡山総合体育館が立地する開成山地区では民間資本を導入するPFIの手法を導入して、体育施設の一体的な整備が進んでいる。総合体育館は来春完成をめどに観客席を5千席以上に増設し、大型映像装置が設置される。設備向上と屋内施設の利点を生かし、通年でスポーツ以外にも利活用を図れれば、多機能交流施設としての価値が高まる。

 同じ総合体育館を本拠地とするBリーグ(B2)福島ファイヤーボンズとは相乗効果を発揮し、スポーツ文化の向上・発信に努めてほしい。

 スポーツを活性化の切り札にしようと全国各都市がしのぎを削る。郡山市はまちづくりに位置付ける施策がなく、全庁的な検討にようやく入った。体育施設充実、有力チーム定着に伴う交流人口拡大を機に、慢性的な交通渋滞や駐車場不足など都市の課題解決にも乗り出すべきだ。エアリービーズのマザーホームタウンとなる西尾市との交流も探ってはどうか。(鞍田炎)