京都市の京都女子中は福島民報などの地方紙を活用したNIE(Newspaper In Education=教育に新聞を)学習に取り組み、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地に対する理解を深めている。6月には3年生が修学旅行で浜通りを訪問するほか、安積高(郡山市)の生徒と交流する。

 修学旅行先を初めて福島県に変更したのに伴い、震災や復興に対する県民の思いを知るため福島民報の購読を始めた。3月の授業では、震災から13年となった3月11日付の福島民報と地元の京都新聞や神戸新聞、全国紙を読み比べ、違いを考察した。生徒からは「福島民報は原発に関する記事が多く、関心の高さがうかがえる」との意見が出た。1面には朝日に照らされたJヴィレッジの写真が掲載されており、「復興に向けて機運を高めたいというメッセージが伝わった」などの感想があった。その後も福島民報の定期購読を続け、福島の復興状況などを学んでいる。

 修学旅行では、震災以降・請戸小(浪江町)や中間貯蔵施設(大熊・双葉町)などを見学する。

 授業を担当する三久保貴史教諭(33)によると、中学生は震災や原発事故に関する記憶がほとんどなく、被災地を縁遠く感じる生徒もいるという。「中間貯蔵施設や廃炉などの課題を『自分ごと』として捉えてほしい。さまざまなメディアがあふれる今、紙の新聞の良さも知るきっかけもつくりたかった」と語る。三久保教諭は8月に京都市で開かれるNIE全国大会で成果を発表する。