古巣・浦和との一戦で木下康介が決勝ゴール

 柏レイソルは4月12日のJ1第8節で浦和レッズをホームに迎え打ち、途中出場のFW木下康介が決勝ゴール。古巣対決で見事な右足シュートを決め、チームを1-0の勝利へと導いた。

 柏はFW細谷真大がパリ五輪を目指すU-23日本代表の活動に合流してチームを離れ、FW小屋松知哉が最前線に入った。井原正巳監督は、この選択について「木下も前節にゴールしていた。小屋松も怪我から帰ってきて、前のタイプをどうするか。木下を途中から入れたほうがチームのパワーになると考えた。小屋松のほうが守備のスイッチを入れたり、全体の守備の連動を促してくれ、スピードで相手の最終ラインをかき回してくれるので、そのチョイスになった」と試合後の記者会見で意図を説明した。

 持ち前の堅実なプレーで0-0のまま試合を進めた後半13分、井原監督は小屋松に代えて木下をピッチに送り込んだ。指揮官は「木下は高さもあるので、途中から入ってゴールに向かうパワーを生かしてくれれば」という期待を込めて送り込んだ。その空中戦でイエローカードを受けてしまう場面こそあったが、後半27分に待ち望んだ瞬間が訪れた。

 後半27分、FWマテウス・サヴィオが右サイドを切り崩して中央へラストパスを送ると、木下が右足で巻き込むようにして蹴り込んだ。相手の最終ラインの手前に浮いたスぺースでのシュートについて「あえてあまり動かないことで、相手にも気づかれにくいしサヴィオも見つけやすくなる」という駆け引きがあった。

 木下は横浜FCのユースから直接渡欧してドイツ、スウェーデン、ベルギーと渡り歩いたのち、2021年にノルウェー1部スターベクから浦和に加入した。変わり種のJリーグへの逆輸入となったが、浦和ではリカルド・ロドリゲス監督の指揮下でリーグ戦2試合の出場機会で退団。水戸ホーリーホックと京都サンガF.C.を経て柏に加入していた木下が、古巣への“恩返し”ゴールとなった。

 浦和も大きく選手が入れ替わってきているが、GK西川周作は当時のチームメイトでありトレーニングでも何度も対峙した相手だった。それだけに「尊敬するGKだし、長い間ずっと活躍している周作さんを相手に点を取れたのは、素直に嬉しい」と喜んだ。

 190センチの長身を生かしたプレーに加えてサヴィオというラストパスの供給源もいるだけに、細谷がパリ五輪へ向けた戦いで離脱している柏の最前線でこれまで以上の存在感を発揮しそうだ。

FOOTBALL ZONE編集部