●FW
サッカー日本代表は21日、FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選で北朝鮮代表と対戦し、1-0で勝利を収めた。この試合での選手たちのパフォーマンス、そして監督の采配はどうだったのか。今回はA〜Cの3段階で評価する。
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上田綺世(背番号9)
北朝鮮代表戦:81分OUT
評価:B

 電光石火で決まった田中碧の先制ゴールは、相手選手に囲まれた状況下で上田が選択した意外性あふれるヒールパスが起点に。このゴールシーンを含め、同選手の体を張ったボールキープは攻撃に厚みを作る上で効果を発揮していたと言えるだろう。ポストプレーヤーとしての貢献度が高いことに加えて、オフ・ザ・ボールの動きも秀逸。ただ、上田の裏抜けと味方選手からのパスのタイミングが合わず、同選手が理想的な状況・体勢でパスを受けることが出来たシーンは少なかった印象だ。そういう意味でも、伊藤洋輝から完璧なスルーパスを引き出すことに成功した80分の決定機はものにしたかった。

小川航基(背番号19)
北朝鮮代表戦:81分IN
評価:出場短く評価なし

 オランダで好調のFWに、決定機は舞い込んでこなかった。シュートこそ打つことは出来なかったが、交代選手として前線からの守備に走りまわっていたのは高評価。球際の強度も十分で、次はもっとそのプレーが見たい。

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●WG
前田大然(背番号11)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:B 
 試合開始直後から、代名詞である高速プレスで相手のDFラインにプレッシャーをかけ続けた。地上戦勝率は71%(10/14)を記録し、球際で強さを発揮。積極的にドリブルで仕掛けるシーンが多く見られ、北朝鮮代表のファウルを誘った。29分には、切れ味鋭いフェイントで完全に相手DFの逆を突いたドリブルを見せている。突破力に優れた三笘薫を怪我で欠くこの試合では、左サイドからの打開に前田が貢献した部分はとても大きい。総シュート本数はわずか1本にとどまったが、攻撃への影響力は絶大だった。

堂安律(背番号10)
北朝鮮代表戦:72分OUT
評価:B

 先制点となる田中碧のゴールをアシストする上々の立ち上がりとなると、その後は献身的なプレスバックで相手を苦しめた。一方で攻撃面では、右サイドで何度か菅原由勢と良い連係を見せていたものの、単独で縦に仕掛けるシーンは少なく、相手の脅威になり切れていなかった。42分に迎えたGKとの1対1の場面は、決めればその後の試合展開が間違いなく楽なものになっていただけに勿体ない。前半は随所で輝いていたものの、徐々に存在感が薄まっていく尻すぼみの72分間だった。

浅野拓磨(背番号18)
北朝鮮代表戦:72分IN
評価:B

 短い出場時間でも随所で自らの強みを見せた。84分に単独突破で相手DFにプレッシャーを与えると、直後の87分には前田大然へアウトサイドでスルーパスを通しチャンスを演出。サイドに位置を取り続けるのではなく、中央にも顔を出しながら攻撃の潤滑油になろうと走り回っていた。

中村敬斗(背番号13)
北朝鮮代表戦:出場なし
評価:なし

●MF
南野拓実(背番号8)
北朝鮮代表戦:72分OUT
評価: B

 トップ下の位置で北朝鮮守備陣の間に何度も顔を出し、チャンスメイクの機会をうかがっていたが、なかなか前を向いてプレーする場面に持ち込めず。パサータイプの選手ではないが、自身の前で身体を張る上田綺世にもっとパスを供給したかったところだ。それでも、前を向いた時の推進力は秀でたものがあり、42分には右サイドでのボール奪取を起点にペナルティエリアまで侵入し、絶妙なタイミングで堂安律へスルーパス。ゴールは生まれなかったものの大きな決定機を創出した。ボールを持てば違いを生み出せる選手なだけに、高い位置でボールを触る回数をもっと増やしたい。

守田英正(背番号5)
北朝鮮代表戦:57分OUT
評価: B

 中盤は北朝鮮のプレスが集中していたが、さすがの技術で簡単にボールを奪われなかった。前田大然の動きに合わせて伊藤洋輝が大外のレーンを駆け上がった際には、空いた左SBの位置に入って最終ラインと前線を繋ぐ役割を担った。セカンドボールへの反応に優れていたため、守田の位置でボールを回収して攻撃を継続できる場面が多かった印象だ。後半になるとスタミナが切れたか相手のドリブルを食い止められない場面もあり、57分にお役御免に。その後の北朝鮮に押し込まれる展開を見ると、守田の存在の大きさを感じさせた。

田中碧(背番号17)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:A

 この試合のMVPは田中碧で間違いない。得点のシーンでは、田中らしい三列目からの攻撃参加でボックス内に侵入し、堂安律からのパスをゴールネットに突き刺した。この試合では中盤でコンビを組む守田よりも低い位置でプレーし、ビルドアップの際には板倉滉と町田浩樹の間に降りてダウンスリーの形に。最終ラインからの攻撃の組み立てに大きく貢献した。また、守備の強度が以前と比較して格段に上がったように見え、43分の被カウンターの場面では相手FWとスピード勝負になるも泥臭くボールを奪い取ってピンチを防いだ。攻守で躍動し、90分間戦い抜いた背番号17には、最大級の賛辞を送るべきだろう。

遠藤航(背番号6)
北朝鮮代表戦:57分IN
評価: B
 北朝鮮が攻勢を強めた後半途中にピッチへ。難しい時間帯からの途中出場となったが、素早い寄せで相手のカウンターを未然に防いだ。遠藤の投入により、単に中盤の守備力が上がったことは勿論のこと、守勢に立っていた日本はボールポゼッションを回復し攻撃に転じることが出来るように。なんとか無失点で終えられたのは苦しい時間帯に遠藤が踏ん張り続けたからである。リバプールで見せる”前への強い意識”はこの試合でも光った。

川村拓夢(背番号7)
久保建英(背番号20)
北朝鮮代表戦:出場なし
評価:なし

●DF
板倉滉(背番号4)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:B
 キャプテンマークを巻いたこの試合では、攻守ともに安定感のあるプレーを披露。左サイドの援護に回った町田浩樹の背後を素早くカバーするなど、堅実な守備対応を見せ、地上戦勝率100%(1/1)、空中戦勝率83%(5/6)を記録した。攻撃の組み立ての際には町田、田中碧とともに高い位置でボールを回して相手ブロックを揺さぶり、ギャップを突いて単騎で前線まで持ち上がるプレーが見られた。これを決定機に繋げるためには、チームとして同選手からボールを引き取る役割を担う選手を設定しなければならない。
 
町田浩樹(背番号15)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:B
 随所でフィジカルの強さを見せ、前から潰しに行くディフェンスで北朝鮮代表の縦パスをシャットアウト。不安定な守備が目立った伊藤洋輝のカバーリングで汗をかき、左サイドで相手に攻撃の起点を作らせなかった。28分に訪れた被カウンターの場面では冷静な対応でピンチを脱している。その一方で、強みであるはずのエアバトルには少し不安が残るシーンもあり、47分にはシンプルなロングボールで相手にチャンスを作らせてしまった。ロングパス成功率が14%(1/7)とかなり低く、後方からの攻撃への貢献度をもう少し上げたい。

菅原由勢(背番号2)
北朝鮮代表戦:74分OUT
評価:B
 序盤から積極的なオーバーラップを見せて、前方の堂安律をサポート。豊富な運動量で上田綺世、堂安とともに右サイドの攻撃に厚みをもたらした。課題を残したのが、クロス精度。ポケットからのクロスはなかなかボックス内の味方選手に届かず、相手DFのクリアを受け続けてしまった。競り合いの場面で相手選手の肘が顔面を強打するなど、激しいフィジカルコンタクトに悩まされたこともあって、オランダでの好パフォーマンスが再現されたとは言い難い。毎熊晟矢、橋岡大樹の台頭で代表での立場はこれまで以上にぐらついている。
 
伊藤洋輝(背番号21)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:C
 80分に上田綺世の裏抜けに反応してスルーパスを出したが、それ以外には攻撃において効果的な役割を果たすことは出来なかった。前田大然が内側のレーンに入った際に、大外のレーンを駆け上がって高い位置でボールを持つまでは良いものの、そこから縦に刺すパスが出せない。セーフティーなバックパスを選択するシーンが多かった。さらには、サイドをぶち抜かれそうになり手を使ったプレーで警告を受けたシーンも。47分の北朝鮮の決定機では誰よりも早くセカンドボールに反応したことで失点を防いだが、その活躍を考慮に入れてもこのパフォーマンスでは厳しい評価は避けられない。

谷口彰悟(背番号3)
北朝鮮代表戦:73分IN
評価:A
 徐々に北朝鮮のチャンスシーンが増加し、日本の最終ラインがずるずると下がっていた中で投入された。谷口が3バックの中央に入ったことで状況が好転し、適切なライン設定ができるようになった。日本が再び攻勢を強めるのに大きく貢献をしたと言えるだろう。地上戦勝率は100%(3/3)を記録し、後半終盤の守備では抜群の存在感を放った。

橋岡大樹(背番号14)
北朝鮮代表戦:74分IN
評価:B
 後半途中から[3-4-3]の右ウィングバックとしてプレー。前からガツガツ奪いに行く守備や、ダイナミックな攻撃参加で停滞気味だった右サイドの攻撃を再起動することに成功した。また、谷口彰悟とともに守備に安定感をもたらした。思い切りのよいミドルシュートを放つ場面もあり、もっと長くそのプレーを見たい。次戦が楽しみな好パフォーマンスだった。

長友佑都(背番号22)
渡辺剛(背番号16)
北朝鮮代表戦:出場なし
評価:なし

●GK
鈴木彩艶(背番号23)
北朝鮮代表戦:フル出場
評価:B
 前半は日本が主導権を握っていたことで静かな時間を過ごしていたが、後半に入って北朝鮮が攻勢を強めると状況が一転。後半立ち上がりにハン・グァンソンから強烈なミドルシュートを浴びた。その後も何度かシュートを打たれた中で、クリーンシートを達成したことは高く評価されるべきだ。ただ、ゴールキックなどのロングパスは改善が必須な精度だった。

前川黛也(背番号1)
大迫敬介(背番号12)
北朝鮮代表戦:出場なし
評価:なし

●監督
監督:森保一
評価:B
 良くも悪くも無難な采配だった。後半には北朝鮮のロングボール戦術で守勢に立たされていた中で、谷口彰悟と橋岡大樹を投入して3バックに変更し、無失点で勝利を掴んだ采配は高評価。しかし、後方からのビルドアップには手詰まり感があり、完成度の低さが露呈した。三笘薫や伊東純也など、抜群の突破力を誇る主砲たちが不在だったことを差し引いても、ホームでウノゼロの辛勝はまずいだろう。

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