●鎌田大地(ラツィオ/イタリア)

 ヨーロッパの23/24シーズンも佳境を迎えており、各クラブはそれぞれの目標に向けラストスパートをかけている。そうした中、早くも今季終了後の去就に関する話題も増えている。とくに契約満了間近の選手の動向は気になるところだ。今回は、今季限りでクラブとの契約が切れる予定の欧州日本人を6人紹介する。

——————————-

生年月日:1996年8月5日
23/24リーグ戦成績:21試合1ゴール1アシスト

 鎌田大地を取り巻く環境は、ラツィオ加入後に一変したといえるだろう。昨季のフランクフルトで攻撃の中心として躍動し、シーズン終了後にフリーの身となった同選手は、複数クラブのオファーがあった中で昨年8月にラツィオに移籍。サウジリーグに移籍したセルゲイ=ミリンコヴィッチ・サヴィッチの穴を埋める活躍を期待された。

 シーズン序盤はナポリ戦でゴール、ユベントス戦でアシストを記録するなど一定の活躍を見せていたものの、第5節以降は不遇の期間が続く。ライバルであるフランス代表MFマテオ・ゲンドゥージをマウリツィオ・サッリ監督が重宝し、鎌田の出番は激減。出場機会減少によるパフォーマンス低下を懸念してか、日本代表にも昨年9月以降招集されなくなってしまった。

 しかし、ここで彼に追い風が吹いた。監督がサッリからイゴール・トゥドールに代わったことで、、先発出場の機会を得たのだ。同選手はトゥドールのラツィオ初陣となるユベントス戦で先発出場し、ウノゼロでの勝利に貢献した。次節ローマとのダービーマッチでは昨年11月以来、久々となるフル出場も果たし、チーム内の序列を回復させたといえるだろう。

 鎌田の去就については現地でも意見が分かれている。『Il Corriere dello Sport』は今季限りでのラツィオ退団が濃厚であると伝え、『LAZIONEWS24』ではクラブが3年間の契約延長を示唆していると伝えている。いずれにせよ、シーズン終了までの数試合で彼がどのようなパフォーマンスを見せるかによって、来季のユニフォームの色が大きく変わってきそうだ。

今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人 全選手紹介
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人(2)
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人(3)

●原口元気(シュトゥットガルト/ドイツ)

生年月日:1991年5月9日
23/24リーグ戦成績:1試合0ゴール0アシスト

 原口元気の状態が心配だ。2023年1月にウニオン・ベルリンからシュトゥットガルトに加入した原口は、当時監督だったブルーノ・ラッバディアのもと8試合に先発出場。しかし、成績不振を理由にラッバディアが解任され、代わりとしてセバスティアン・ヘーネスが就任すると、原口の立場は一変した。

 ヘーネス監督の就任以降、同選手の出場機会は大幅に激減。今季に至ってはわずか1試合、それも20分のみの出場にとどまっている。シュトゥットガルトは降格圏をさまよっていた昨季から大きく躍進し、現在ブンデスリーガ3位に位置している。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得も濃厚な現状にフロント陣も満足しているようで、ヘーネスの契約延長をすでに発表。原口が来季以降スカッドに割って入る隙はほとんどない。

 ドイツ紙『ビルト』も、平均年齢が24.5歳とブンデスリーガ内で最年少である同チームに、来季33歳となる原口が夏以降所属している可能性は全くないと言及。今冬にはドイツ2部のマクデブルグやスイスのクラブからオファーがあったが、原口はこれを拒否している。Jリーグ復帰も考えられる中で、彼はどのような決断を下すのだろうか。

今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人 全選手紹介
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人(1)
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人6人(3)

===================
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人(3)手放したくない!? 下位チームで孤軍奮闘の快速自慢
===================
●浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)

生年月日:1994年11月10日
23/24リーグ戦成績:24試合6ゴール1アシスト

 ボーフム3年目となるシーズンを迎えている浅野拓磨も、今季終了後の動向が気になる選手の1人だ。

 浅野はサンフレッチェ広島から海外に挑戦したものの、ハノーファー96で出場機会が得られなかったり、セルビアリーグのFKパルチザン・ペオグラードで給料未払いが発生したり、クラブ運に恵まれない数年間を過ごしていた。

 そんな浅野は2021年にボーフムへと加入。毎年降格のピンチに陥る下位チームで、攻撃のチャンスがあまりめぐってこない中、21/22シーズンはリーグ戦3ゴール4アシスト、22/23シーズンは同3ゴール2アシストをマーク。昨季最終戦では1ゴール1アシストの大活躍で1部残留の立役者となった。

 今季はすでに、ボーフム加入後最多の6ゴールを記録しており、最高のアピールを続けている。当然クラブからの評価も高いようで、ドイツ紙『ビルト』によると、ボーフムの元監督トーマス・レッシュは「彼のプレースタイルとチームのプレースタイルは絶対的にマッチしていると伝えている」と言及し、この日本代表FWの移籍を慰留するため全力を尽くしているようだ。

 しかし、先日ボーフムは浅野を重宝してきたレッシュ監督の解任を発表した。これが快速日本人FWの去就にどう響く可能性は否めないはずだ。

=================
今後どうなるの…。契約満了間近の欧州日本人(4)大怪我→復活→大怪我…。今季絶望で大ピンチ?
=================
●中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)

生年月日:1997年2月16日
23/24リーグ戦成績:23試合0ゴール2アシスト

 ハダースフィールド所属の中山雄太は、加入後2シーズン目となる今季もイングランド2部のチャンピオンシップでプレーしている。

 中山は柏レイソル時代にCBのポジションで頭角を現し、2019年にエールディヴィジのズヴォレに移籍。オランダという異国の地でも安定したパフォーマンスを続け、2022年に現在プレーするハダースフィールドへ加入した。

 しかし、中山に突如試練が訪れる。加入後すぐにスタメンの座を勝ち取り、その年の冬に行われたFIFAワールドカップ・カタール大会への出場も有力視されていた中で、大会直前にアキレス健を断裂してしまう。実戦復帰までに10か月もの時間を要したが、復帰後は怪我以前の輝きを取り戻しスタメン出場を重ねていた。

 だが、またも中山に魔の手が襲いかかる。今年3月に行われたリーズ・ユナイテッド戦で左膝内側靱帯を負傷。今季残りの全試合を欠場することとなった。ハダースフィールドとの契約は今夏で切れるため、シーズン終了までの期間が大事であっただけに残念だ。27歳を迎え、より上のクラブへステップアップを図るには正念場となっていた中での怪我は、中山自身にとって二重の意味で痛いものとなっている。

=================
去就不透明…。契約満了間近の欧州日本人6人。40歳でフル出場!?同一クラブ300試合出場のレジェンド
=================
●長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)

生年月日:1984年1月18日
23/24リーグ戦成績:6試合0ゴール0アシスト

 今年1月で40歳になった長谷部誠は、今季でフランクフルト10シーズン目を迎えた。フランクフルトでの通算試合数が300試合を超えた同選手は、まさにクラブのレジェンドである。

 長谷部は2014年にニュルンベルクからフランクフルトに加入。加入当初はボランチで、以降は3バックの中央でチームを支え続けた。UEFAヨーロッパリーグ(EL)制覇、38歳でのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場など、輝かしい記録を積み重ねてきた同選手は今季もリーグ戦に6試合出場。今年2月のフライブルク戦ではフル出場を果たすなど、不惑を迎えてもゲームをコントロールする能力は衰え知らずだ。

  2022年に2027年までの契約延長が発表されているが、これは引退後の期間を含めたものである。フランクフルトは同選手の引退後すぐに指導者として同クラブに還元してほしいようだ。もともと昨季限りでの現役引退が既定路線だったが、昨年3月に選手としての契約を1年延長。2021年から2シーズンにわたりフランクフルトの監督を務めたオリヴァー・グラスナーも「その気になれば、長谷部はあと5年プレーできる」とドイツ紙『シュポルト・ビルト』の取材で答えているように、再度の契約延長もゼロではない。今年6月で契約は切れることになるが、昨年のようなサプライズはあるのだろうか。

===============
去就不透明…。契約満了間近の欧州日本人6人。海外5か国目!アメリカでキャプテンを務める守備職人
===============
●吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)

生年月日:1988年8月24日
今季リーグ戦成績:7試合1ゴール0アシスト

 昨年アメリカにプレーの場を移した吉田麻也は、相変わらず安定したプレーを続けている。

2010年の海外挑戦から14年。吉田はオランダ、イングランド、イタリア、ドイツと5大リーグを中心に列強のストライカーたちとの対峙を続け、昨年8月にアメリカのMLSへの初挑戦を決意した。

 移籍先に選んだロサンゼルス・ギャラクシーでは、1リーグに29チームがひしめき合う中での過密日程や、欧州リーグではまず見ることのない長距離移動など、今まで経験したことのない環境の中でも加入後全試合にフル出場。シーズン途中からはチームキャプテンを務め、これまでの経験をフルに活用している。今季も全7試合でキャプテンとして出場し、チームの大黒柱として奮闘。ロサンゼルスは7節終了時で5位につけており、昨年26位に終わった昨季から目覚ましい成長を遂げている。

 MLSは春秋制を採用しており、吉田はシーズン終了となる今年の年末までの契約となっている。すでにロサンゼルスにとって必要不可欠な存在となっている吉田を同クラブが簡単に手放すことは無いとは思うが、今季終了時に獲得戦線に加わるJクラブは少なくないだろう。百戦錬磨の守備職人のプレーが日本で見られる日は来るのだろうか。

中井卓大だけじゃない! 10代の欧州日本人サッカー選手5人
なぜ…。欧州で活躍できなかった日本人選手10人
サッカー日本代表候補を100人選んでみた。W杯予選&アジア杯でチャンスがあるのは…