●興味と探求心を育む松井大輔の指導

 元サッカー日本代表で、昨季限りで現役を引退した松井大輔氏が12日、横浜FCサッカースクールでの初指導を行った。「対人強化コース」の体験会として、小学1、2年生、同3〜6年生を対象とした2クラスが設けられ、松井氏はそれぞれのクラスを指導。松井氏の指導に密着し、指導後に話を訊いた。

 現役時代は日本屈指のドリブラーとして国内外や日本代表で活躍した松井氏は、「1年生から6年生までのこの時期はゴールデンエイジとも言われる年代で、ボールフィーリングを養うには一番大事なんです」と言う。体験会では松井氏自身が適宜デモンストレーションを行い、子どもたちはボールタッチを養うメニューを消化した。

 4種(小学生年代)と言えど、年代によって接し方や言葉の使い方は異なる。「(集中が続かない)1、2年生は人の話を聞いていないので(笑)、できる限りボールを触りながら楽しさを感じてほしかった。『サッカーってこんなに楽しいんだ』『もっとうまくなりたい』と思えば興味が湧くし、子どもの探求心も生まれてくるので」と松井氏は考える。実際にピッチでは「いろんなところでボールを触ろう」「できなくてもいいからやってみよう」などと松井氏は子どもたちへ伝えていた。

 一方で高学年への指導については「レギュラーになりたい、ドリブルがうまくなりたい、といった個人的な欲求が生まれるので、1人ひとりに合ったものをアドバイスできたらいい」と言う。「ボールを身体から離さないで」「周りを見ながらボールを触ろう」などと、具体的な言葉を織り交ぜながら声をかけていた。

 松井氏は4月から横浜FCサッカースクールのコーチとして「対人強化」をテーマに指導する。指導者としてのキャリアを本格的にスタートさせた松井氏は「子どもの頃からドリブルなどの技術、専門的な個人戦術を身につけることができれば、日本サッカーのレベルも向上すると思う」と個の力の重要性を説いた。

(取材・文:加藤健一)

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