電車やバスの優先座席は、妊婦や体の不自由な人が座れるように設けられています。譲り合って、より多くの人が快適に過ごせるようにすることが大切ですよね。しかし中には、優先座席でトラブルを起こしてしまう人もいるそう。今回は筆者の友人が妊婦のときに体験したエピソードを聞かせてくれました。

妊娠中、優先座席に座っていると

これは私が妊婦だったころの話です。
当時、私はまだ産休に入る前で、都内の会社まで毎日電車で通勤していました。
一応カバンの目立たない場所にマタニティマークをつけてはいましたが、最近はマークをつけていたせいで嫌な思いをしたという話もよく聞くので、いつもできるだけ優先座席には座らず、普通の座席に座るようにしていました。

しかしその日は沿線で何かイベントでもあったのか電車が混んでいたので、仕方なく優先座席に座ることにしたのです。

しばらくすると、途中の駅で初老の男性が乗車してきて、キョロキョロと車両の中を見回したあと、私に目を留め、こちらに向かってスタスタと歩いてきました。

「これが見えんか?!」と突きつけられた物は……

一体なんだろう……? と私が身構えていると、男性は私の目の前までやって来て、【ある物】を突き付け、突然大きな声で「これが見えんか?! ヘルプマークや! さっさと立って席を譲らんか!」と言ってきました。

しかし、男性が手にしていたのは、どこで手に入れたのか、まさかのマタニティマーク!

どうも男性は、マタニティマークとヘルプマークの違いも分からず、席を譲ってもらえる便利な物とでも勘違いしている様子です……。

仕方なく席を立つことに

さっき歩いていた様子からすると、男性はとても元気そうで、ヘルプマークが(もちろんマタニティマークも)必要な人には見えませんでした。

しかし本人が譲れと言っている以上、見た目では分からないハンディキャップがあるのかもしれない……と思い、比較的体調がいい日だったというのもあって、私は優先席を立ちました。

すると男性は、お礼を言うどころか「元気なのに優先座席に座るお前みたいなやつがいるから……」とブツブツ言ってきたのです。

さすがに見過ごせない!

イラッとしてしまった私は、「あなたが持っているそれはヘルプマークではなく、妊娠中の女性のためのマタニティマークです。私もお腹はあまり目立ちませんが妊婦です。今日は体調がいいのでお譲りしますが、見た目は元気そうでも病気を患っていたり、妊娠中で辛い人もいるっていうことは知っておいてくださいね!」と男性に伝えました。

幸い、やりとりを見ていた近くの人がすぐに席を譲ってくれて、私もまた座ることができましたが、男性はさすがにバツが悪かったのか、降りる駅までずっと気まずそうにしていました。

まとめ

優先座席を巡る問題は判断が難しいことも多いですよね。
でも結局は、一人一人が思いやりを持つことが一番の解決策なのではないでしょうか。

この男性も、もし健康なのにマークを悪用したのであれば、これを機に考えを改めてほしいものです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの