大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。第十二話は「思いの果て」。為時(岸谷五朗さん)が官職に復帰する目途もなく、生計を立てるためにまひろの婿を探すことを宣孝(佐々木蔵之介さん)が提案するも――といった話が展開しました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。今回は「平安時代の宝飾品事情」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

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世の中は厳しい

11話で「まひろに婿を見つける」と言っていた藤原宣孝ですが、12話で実際に秋山竜次さん演じる藤原実資との縁談を持ってきました。

しかし、まひろは「その必要はない」と答えたため、「カスミを食ろうて生きていけるとでも思っておるのか!」と宣孝から激怒されてしまいました。

いつの時代だろうと、カスミだけでは生きていけない。

まひろ本人もそうでしょうが、視聴者の多くがあらためて世の中の厳しさを痛感させられたに違いありません。

ちょっとそこからはズレますが、今回は、豊かさを象徴する「平安時代の装飾品」について考えてみたいと思います。