人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。

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貯金を数字の羅列にしない

低金利が続く現在、貯蓄をしてもそれほど増えるわけではないので、預金通帳を見ながらため息をつく人もいれば、「もっと頑張ろう」と思う人もいるでしょう。たしかに、それなりのお金があれば生活の不安はなくなりますから、貯蓄に励むのも悪いことではありません。

しかし、いくら預貯金が増えても、使わなければ数字の羅列でしかありません。生活を切り詰めて、せっせと貯蓄に勤しんだ末に亡くなってしまい、莫大な資産が残ったとしたら、どうでしょうか。その人は幸せだったのでしょうか。楽しい人生だったのでしょうか。

もちろん、貯めることが人生最大の楽しみという人もいます。価値観は人それぞれなので、質素を旨とする人生もそれはそれでいいと思います。

でも、あえて言わせていただくなら、私は、「お金は使うもの」ではないかと思っています。自分の楽しみのためにお金を使う、暮らしを快適にするための出費を惜しまないという生き方は、幸福感につながるのではないでしょうか。