作文の課題

アドラーは、17歳か18歳の若者が、努力はしているが、まだ何をしていいかわからないのは困ったことだといっている(『個人心理学講義』)。

この年齢に達する前に、将来どんな仕事に就くかに関心を持てるように努力しなければならず、学校で将来何になりたいかというような題で作文の課題を出すことを提案している。

書くようにいわれて初めて、そういう課題がなければずっと後まで直面しないかもしれない問いに否応なしに直面することになる。

アドラーのいうように、どんなことをしてみたいかと考える援助はあっていいと思うが、必ず、「職業」選択への関心を喚起しなければならないわけではないと私は考えている。

親は子どもにどうしたいのかたずねることはできる。親の考えとは違う答えが返ってきたら、親は子どもの人生について自分の考えをいうことはできるが、それ以上のことはできない。

※本稿は、『悩める時の百冊百話-人生を救うあのセリフ、この思索』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。