そして、その真っ赤な葉鶏頭を赤い絵の具を使わず、墨を濃く磨って描きたいと歌っているのです。心に働きかける抽象表現の世界を感じるこの歌に、先生は大変共感なさっていました。

また、先生は弟子をとる方ではありません。なぜかとお聞きすると、「自分の思いを生み出そうとする行為を、どのようにして指導するのですか。

心に育てたものを表現するのが芸術です。弟子は生み得るわけがありません」と。でも「生き方の師なら」と私に言ってくださいました。

<後編につづく>