能登半島地震で被災地の断水が長期化し、上水道管の耐震化が改めて注目されている。福井県内の基幹的水道管の「耐震適合率」は44・2%(2022年度末時点)で、全国平均を1・9ポイント上回っているものの、国が目標とする60%には及ばない。事業費は水道料金に上乗せされるため、事業主体の市町は国の交付金を当てにし工面している。ただ交付金活用のハードルは高く、自治体は要件緩和を訴えている。

 福井県医薬食品・衛生課によると、県内の基幹的水道管の総延長は1188キロ(22年度末時点)。このうち地震時に継ぎ目が壊れない耐震管を導入したり、揺れに強くなるよう地盤改良したりした「耐震適合性」のある管は525キロにとどまる。国は耐震適合率を28年度までに60%に上げる目標を掲げており、一層の事業促進が求められる。

 国の交付金を受ける要件の一つが、水道料金が全国平均以上であること。県によると、県内市町でこの条件を満たすのは大野市と若狭町のみという。県は「物価高対策で水道料金を免除する施策を打ち出す市町もあり、耐震化のためとはいえ料金引き上げはしにくいだろう」と説明する。