◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 最終日(31日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7069yd(パー71)◇曇り(観衆4078人)

悪天候によるコースコンディション不良でプレーできなかった大会2日目の29日(金)、金谷拓実は中島啓太にLINEでメッセージを送った。

「(ラウンドできず)やることもなかったので…」と冗談めかしながら、DPワールドツアー「ヒーローインディアンオープン」で優勝争いを演じる盟友の戦いをしっかりチェックしていた。

「JKG」と送ると、すぐに返信があった。「『JKG』とだけ。律儀なんで(笑)」。長い時間を一緒に過ごしてきた2人の間に長々としたやり取りはいらない。「Just Keep Going(前進あるのみ)」を略して「JKG」。アマチュア時代に海外でダブルス戦を戦った時も合言葉だった。

インドで奮闘する後輩に触発された最終日のプレーは圧倒的だった。早朝に持ち越した第3ラウンド11番からの8ホールで4バーディ。「72ホール終わった時には必ず優勝できると信じてプレーした」と強い気持ちを一打一打に込めた。

単独首位に浮上して最終ラウンドに入っても、攻め手を緩めない。出だし5ホールでいきなり4バーディを奪うと、サンデーバックナインの仕上げも鉄壁。ティショットを左に曲げた11番はセカンドのアイアンが左上の傾斜から戻り切らず、下りの長いバーディパットを残した。3m近くオーバーさせたが、返しのスライスラインをねじ込んでガッツポーズ。「優勝するためには、ああいうミスを避けていくことが大事」。勝負どころを心得ていた。

3年ぶりの大会2勝目は尾崎将司らと並んで大会最多タイ。20代での達成は初めてだった。261ストローク、通算23アンダーも大会レコードを更新。通算52試合目での生涯獲得賞金3億円突破は池田勇太と並び、石川遼の54試合を上回るペースだ。

「もちろん賞金王目指して、どの大会でも優勝を目指して頑張っていきます」。口にしたシーズンの目標は、あくまで通過点。日本の頂点の先、海外での活躍を見据えて前進あるのみだ。(三重県桑名市/亀山泰宏)