地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

数少ない「ロッディオコンシェルジュ」ならではの1本

連載14回目は愛知県岡崎市にお店を構える「大信プロダクト」の福嶋安宏さんがおすすめする1本をご紹介。ゴルフを30代後半から始めたという福嶋さんの前職はディスカウント関係。当時は東京にいて、あるとき中古ゴルフクラブに目をつけ、中古ショップをオープン。その後、お客様からクラブカスタムの要望が多かったことをきっかけに「大信プロダクト」をオープンした。2008年から「ロッディオコンシェルジュ」を取得し、レアな部品を取り揃えている。客層は主に30代〜50代がメイン、そのほかジュニアゴルファーのサポートや23年中日クラウンズにて初出場6位の好成績を残した服部雅也プロが通っている。

「まず第一に、お客様主体のクラブを作ることを意識しています。お客様の細やかな要望に応えるには、それ相応にカスタムできるヘッドや知識が必要になると感じ、ロッディオコンシェルジュを取得しました。例えばヘッドに使うネジは素材・重量違いで100種類以上はあります。お客様の好みに合わせてまずは大まかに組み、その後微細な調整をすることが多いですね」と専門的な知識と、自身の経験を合わせたクラブ作りが人気の秘訣だ。また「アイアンは単純にロフト、ライだけではなく、構えた見た目が大事です。ゴルフはイメージのスポーツなので、とことんこだわる方はネック調整の依頼も多いです」と語った。シニアプロやツアープロが足繫く通うこの工房では、とことん好みに近づけるよう丁寧なヒアリングと調整が行われている。驚いたのは、福嶋さんに会ったことが無い人でも宅配便にてクラブの調整依頼が来ていることだ。口コミや紹介で繋がるお客様も多いのは、信頼されている証だろう。

「ロッディオ『M-Tuning』とロッディオシャフト『np5★』がおすすめのセッティング」と福嶋さん。「『M-Tuning』は同シリーズ『F-Tuning』と異なりヘッド重量が少し重くできているため、ハードヒッターでも使用できる重量帯です。今年、シニアツアー入りした木下芳彦プロも使用しているほど。なお、『F-Tuning』はヘッド重量が軽いため長尺を作りやすい利点や、軟らかいシャフトとのバランスが良いので、ヘッドスピード39m/s前後のゴルファーにとてもマッチしやすいヘッドです。そして今回のシャフト『ロッディオ シャフト np5★』は、素直なしなり方で重量帯も少し落としているので、しっかりと振り抜けるセッティングにしました」という。また「ヘッド重量が変えられるので、自身の悩みにあったセッティングが必ず見つけられます」といい、ゴルファーの探求心を刺激するヘッドだ。

●●ヘッド/ロッディオ M-Tuning (リアルロフト10.6度)

「M-Tuning」は、新設計のボディ形状より、更なる剛性UPを達成し、打球フィーリング向上のためにフェース部も素材から肉厚設計まですべてリニューアルしている。継承すべきところは継承し、進化すべきところは妥協を許さず徹底的に追求する、まさにRODDIOの開発スピリットの象徴ともいえるドライバーヘッドだ。価格(税込)/8万8000円(ホーゼルタイプは7万8000円)

●●シャフト/ロッディオシャフト np5★

「軽量」と「強さ」を兼ね備えたシャフトを作るために、極薄で強靭な最高級カーボンシートを何十層にも重ねて精密に成型できる「NANO PLUS」製法を採用している。ここで使用するシートは品質が最高級ゆえに素材そのものが非常にデリケートなため、その成型にはハイレベルな設備と管理体制が求められる。「NANOPLUS」とは、世界に誇る「DAIWA TECHNOLOGY」だからこそ成し得る製法であり、NPシリーズは、それを駆使して完成させた最高峰シャフトだ。価格(税込)/6万6000円

真剣にゴルフをしているHS42前後のゴルファーにオススメ

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

いつものように構えた顔の印象を聞くと、「フェースの向きはややオープンなので、かなり構えやすいですし、思い切り振り切れる印象を受けます。また据わりもいいので、上級者が好む顔の特長を捉えているヘッドです。体積が440ccとやや小さいからか、素振りをしてみるとヘッドの操作性が高く、いろいろな球を打てそうな雰囲気があります」と中上級者向けのヘッドと感じたようだ。「シャフトもロッディオということで、ダイワ(現・グローブライド)の流れを組んでいるだけあって、変な挙動がなくスムースな動きで振り切れます。振ってみるとトルクがしっかりあるのがわかります(メーカー表記では5.0)」とこちらも好印象。「いつもどおりヘッドスピードは42m/sくらいで振っていきたいと思います」と試打を開始。

iPadにはHS41.5m/sと出た1球目は堀越プロの持ち球であるドローボールでキャリーで230ヤード近くまで記録。「ボール初速が62.1m/sといい感じの初速です。これはフェースの反発の高さもありますが、シャフトがしっかりボールを押してくれているからだと思います。また、打ち出し角が15.5度と高いのもいいですね」と堀越プロ。2球目、3球目も打ち出し角が高く、16度台が立て続けに記録された。「スピン量は2569rpm、2102rpm、2391rpmなので、低スピン性能も高いです。いわゆる、飛びの3要素はかなりのレベルで確保されています。オフセンターヒットを試してみます」といい、トウ寄りで打った球はしっかりとドロー回転が掛かって、狙った地点からやや左に着弾。「トウ-ヒール方向の湾曲、いわゆるバルジがしっかり付いているので、ギア効果によってしっかり狙ったところに戻ってきてくれます。59.9m/sと初速もそこまで落ちなかったので、ミスにも強いクラブといえるでしょう」。

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●60.4m/s
打ち出し角●16.1度
スピン量●2371pm
キャリー●222.7Y
総飛距離●243.1Y

●総評

「球が上がって、初速が速く、打ち出し角が高いことが特徴です。振りやすく、左に行きづらいので、この組み合わせならHS42m/s前後の上級者が使いやすいと感じるはずです。ヘッドもいいのですが、特筆すべきはシャフトの性能だと思います。トルクが多いことを嫌がる人も少なくないですが、本来、トルクはハンドルの遊びです。トルクが小さいと操作がシビアになり、ちょっとした操作ミスでもヘッドが軌道を外れてしまうんです。私の考えでは、練習量の少ないアマチュアはやさしいクラブを使ったほうがスコアが良くなると思うので、こういうシャフトはオススメです。また、先にも述べましたが、オフセンターヒットにも強いので、上級者だけでなく、アベレージを脱却したいゴルファーにもいいと思います」(堀越)

大信プロダクト

プロアマ問わず気軽に訪れる事ができ、レベルに合った調整を提案してくれる工房。
HPには「レフティ」専用ページの他、「カルテシステム」等福嶋さんの特色が表れている。

住所/〒444-2123 愛知県岡崎市鴨田南町4‐3
営業時間/10時〜19時(定休日:日曜日)
電話番号/0564-28-1235

THANKS/クレアゴルフフィールド