高校野球・春の石川県大会が4月20日に開幕します。

学校が被災し、一時的に県外に拠点を移している日本航空高校石川の選手たちも、能登に戻って大会に備えています。

今回の里帰りの裏には、能登地区の学校同士の友情がありました。

輪島市の航空石川のグラウンドです。

17日は選手たちの元気のいいかけ声が響いていました。

元日の能登半島地震で学校が被災した航空石川。建物内の配管を中心に大きな損傷を受けたことや、行政関係者の復旧作業の拠点として施設を提供したこともあり能登では授業を続けることができなくなりました。

1月からは山梨県の系列校に、そして4月からは東京都内に一時的に拠点を移しています。

航空石川・中村隆監督「(移転の苦労は−)部員たちはそれに順応できるタイプ。寮生活をもともとしていたのでそこよりも心のケアの方が大変でした。特に最初山梨に行った時は、野球をやっていていいのかみたいな後ろめたさみたいなのも若干、最初はあったので」

20日から始まる春の石川県大会に備えて、今週から2・3年生の部員およそ40人が能登に戻ってきました。午前中にオンライン授業を受け、午後からグラウンドで練習です。

中村隆監督「その期間だけなんとか泊まれるスペースで泊まってやっている。実際はいま(学校施設内は)断水しているところがほとんど」

不便な面もありますが選手も監督も慣れ親しんだグラウンドはやはり落ち着くようです。

北岡颯之介選手「いい時も悪い時もこのグラウンドでたくさん受けてきたノックだったり打撃練習だったり、このグランドでやってきたのでその思い出がとても残っています」

北陸朝日放送・下田武史アナウンサー「やっぱり輪島でのノックは、いいものですか?」

中村隆監督「いいですね、グラウンドがいいです。グラウンドが、やっぱりいいグラウンドです、うちのグラウンドは。輪島高校さんとか穴水高校さんがここを今使っていただいてやっているんですけど、最初だいぶ整備をしていただいて」

航空石川が能登を離れている間、輪島高校と穴水高校にそれぞれ週3回ほどこのグラウンドを貸し出していました。地震で被害を受け練習場所が確保できない両校にとっては、大きな救いとなりました。

穴水・花園修兵監督「同じ経験をしたというのが大きいんじゃないかなと思います。それを中村監督が声をかけてくれたのはものすごく励みになりありがたい」

輪島・冨水諒一監督「部員たちに、いま一番何が欲しいって聞くとグラウンドが欲しいですって真っ先に答えるので、なかなか用意してあげることができなくて、こうやって借りることができて良かったなと思っています」

両校の選手たちはグラウンドを借りたことに対する感謝の気持ちを込めて、整備に努めてきました。こうしたことから航空石川が能登を離れている間もグラウンドがきれいに保たれていたのです。

中村隆監督「うちのグラウンドでやっていることもありますけど同じ『チーム能登』みたいな感じで、ともに戦っている感じがしてうれしい」

17日は夕方から輪島の選手たちが合流し、2時間ほどの合同練習、そして両校そろってのグラウンド整備―

大会ではともに優勝を目指してしのぎを削るライバルですが、被災で大変な思いをするチーム同士、グラウンドを通じた友情が育まれていました。