お笑い芸人として活動する傍ら、東京23区内のごみ収集の仕事を続ける滝沢秀一さん。今年で11年目となるその体験から気づいたごみの捨て方のHow toと、その心とは?

Navigator…滝沢秀一 お笑い芸人・ごみ清掃員

たきざわ・しゅういち/1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年より芸人の傍ら、ごみ収集会社に清掃員として勤務。体験をもとにSNSや著書などで発信している。
twitter:@takizawa0914

Proverb #1 捨てる前に洗うだけで価値が上がる!?

ペットボトルはリサイクルのポテンシャルが高く、再びペットボトルへ生まれ変わる確率が高いが…。「処理されるボトルにはランクが付けられ、中身が残っているとランクが下がって洋服や卵パックなど、のちに捨てられるものにしかなれません。綺麗に出しても、周りに汚れたボトルが混ざっていれば同じ。ひとりの捨て方次第で、資源になるかごみになるか決まります」(滝沢さん、以下同)

Proverb #2 分別に迷ったら“9割ルール”を覚えよう。

「日々のごみ清掃の仕事で得た、役立つ捨て方のポイントや豆知識をTwitterで発信しているのですが、このルールを知らなかった!という声を多く聞きました。例えばジーンズを捨てる時、金属のパーツを一つずつ切って分別していくのは大変ですよね。自治体の多くは、9割が燃える素材だったら、1割程度燃えないものが入っていても可燃ごみとして出せるルールを設けています」

Proverb #3 身近な日用品の捨て方、実は間違っているかも!

「よく間違われるのはシャンプーの容器。ペットボトルに出されていることが多いですが、容器包装プラスチックへ。豆乳パックなどのアルミ付き紙容器も注意です。(一部地域を除いて)古紙回収には出せないので、綺麗に洗って可燃ごみに分別を。そして多く聞かれるのは、マニキュアの捨て方。瓶の中身が固まっていれば不燃ごみ、液体が残っている場合は中身を布に染み込ませてから捨てましょう」

Proverb #4 ごみの減らし方はお金持ちから学べる?

東京23区内でごみ収集をしているうちに、「お金持ちの家はごみの量が少ない」と気づいた滝沢さん。「一般家庭のごみは、値段は安いけど長く持たないものをたくさん買っては捨てている印象です。大量のビールの空き缶や洋服のごみも、お金持ちの家では見かけないんですよね。健康に気を遣えるくらい自分にゆとりがあり、本当に必要なものだけを買う取捨選択ができている証拠だと思います」

Proverb #5 欲しいものは値段で決めない。

「値段に左右されず本当に気に入ったものを買っていれば、愛着も湧いてきて長く使おうと思いますよね。捨て方に悩むこともないんです。僕もお金持ちの家はごみが少ないことに気づいてから、まず洋服はレンタルに切り替えました。収納スペースがいっぱいで、どう捨てようかと考えていたストレスもなくなり、毎月届く新しい洋服を気持ち良く迎えて、ありがとう、と送り出していますよ」

Proverb #6 ごみの捨て方を考えると心の整理にもなる。

「食べる・寝ると同じように“ごみを捨てる”も人間の営みのひとつとして考えるようになってから、暮らしに変化がありました。ルールだから守るのではなく、このごみは資源として生まれ変われるのか、どうして回収しているのか、と考えるだけで自然と捨て方に意識が向くようになったんです。ごみ清掃員だからこその特権かもしれませんが、ごみの捨て方を考える毎日は以前よりも楽しいです」

illustration : Mai Beppu text : Ami Hanashima

No. 1221

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