郷土菓子というほど古くはないけれど、その地域では誰もが知っているお菓子あれこれ。町のあちらこちらに存在する〝かわいい〞を見つめ続ける文筆家、甲斐みのりさんにローカルスイーツを教えてもらいました。

1. [秋田県]バナナボート

秋田にはなぜかバナナを使ったお菓子が多い。代表的なのが、バナナとホイップクリームをスポンジ生地で包んだ〈たけや製パン〉の「バナナボート」だ。県内ほか一部東北、都内アンテナショップでの流通。

2. [静岡県]イタリアンロール

生クリームをカステラとシューの生地で巻いた見た目がイタリア産サードオニキスに似ていることから、考案者の〈冨久家〉二代目が命名。沼津の〈冨久家〉および伊豆の国市の〈冨久家エマーユ〉で購入可。

3. [愛知県]ピレーネ

今はなき〈ボンボヌール〉の「ファンシー」が元祖。スポンジで生クリームを包んだこのケーキを独立した弟子たちがそれぞれにつくり、現在では店ごとに呼び名が異なる。〈ボンとらや〉の「ピレーネ」が有名。

4. [広島県]バターケーキ

長崎出身のカステラ職人がカステラをアレンジして開発。以降、〈長崎堂〉の「バターケーキ」は半世紀以上にわたり地元の味として定着してきた。原料も製法も変えず、ストイックに手づくりにこだわっている。

5. [沖縄県]ジャーマンケーキ

ココナッツとくるみ、練乳を煮詰めたフィリングをたっぷりのせたチョコレートシフォンにバニラバタークリームをサンドした、レトロアメリカンなケーキ。ローカルスーパー〈ジミー〉のロングセラー商品だ。

text_Mick Nomura (photopicnic)

No. 1229

No.1229 『永遠の三大定番スイーツ特集 ショートケーキ シュークリーム ドーナツ』 2024年01月26日 発売号

独自の発展を続ける日本のスイーツ文化にあって、時代、世代を越えて愛され続ける三つの定番、ショートケーキ、シュークリーム、ドーナツ。毎日のおやつも、ハレの日も、甘く幸せな時間を約束してくれる定番だからこそ、つくる側、食べる側、それぞれに「私の一番」が生まれます。 各界著名人が教えてくれた「思い出の味」に、気鋭のパティシエが作る逸品と絶対外せない名店、差し入れ名人のおすすめなどなど。町の洋菓子屋さんから注目パティスリー、ホテルスイーツにお取り寄せまでそろったラインナップから、あなたのオンリーワンを見つけてください。 そ …

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