70年以上にわたり受け継がれてきた老舗と、新進にしてすでに定番店の存在感漂うベーカリー。京都のパンカルチャーに寄り添うドーナツを人気の2店で食べ比べ。

まるき製パン所

ドーナツ1個130円。

コッペパンサンドが人気を誇る、地元で愛され続けてきた街のパン屋さん。とはいえ種類豊富なパンそれぞれにファンもいて、お昼前に揚げたてが並ぶドーナツもそのひとつ。

瞬く間に売れてゆき、店頭ががらんとすることも。けれど心配は無用。厨房では次々とパンが作られている。

「僕もよう食べるで。おいしいもん」と笑うのは2代目の木元廣司さん。味の秘訣はと聞けば「生地は菓子パンと同じやね。材料にいいもん使って、心でおいしいもん作ろうと思ってると、自然においしくなるんやで」との言葉も、売れ行きを見れば納得だ。発酵させた生地をのばすのは、ずっと使われている〝うどん屋の機械〞で。一つずつ手作業で型抜きし、砂糖をまぶして完成。ふわっとしつつもちもち感もしっかり、食べごたえがある。同じ生地でつぶ餡を包んだ「あげあん」、カスタードと生クリームを挟んだ冬季限定の「シスター」と、ドーナツは3種類。まずは定番から味わいたい。

まるき製パン所

住所:京都府京都市下京区松原通堀川西入ル北門前町740
TEL:075-821-9683
営業時間:6:30〜20:00(日祝〜14:00)
定休日:月休

昭和22(1947)年創業。現在は2代目の木元廣司さん・幸子さん夫妻と、3代目の陽介さん・明素加さん夫妻が店を営む。

Bakery uki

5坪の極小空間にぎっしり並ぶパンを作るのは店主の松岡英樹さん。パン修業を重ねるうち、新たな作り方に挑戦したい気持ちが湧きあがり独立を決めたというだけに、50種ほどが並ぶパンは常にブラッシュアップが行われている。フレッシュなベルガモットを使ったパンなど、意欲的な新作からも目が離せない。

「レモンのドーナツ」270円。もう一種類は食べる直前にきび砂糖をまぶす「きび砂糖のドーナツ」220円。

「自分が好きで、おいしさを共感してもらえたらと作り始めたドーナツ。塩の量を減らして粉の風味を際立たせ、砂糖は多めで生地自体も少し甘めに仕上げています」と松岡さん。ふっくらしつつも噛んだときのもっちり感、口に広がる小麦粉の風味が〈Bakery uki〉の味だ。

広くはない店内にパンがぎっしり。

ドーナツは2種類。「レモンのドーナツ」は果汁を入れたアイシングをたっぷりかけ、レモンゼストを上に。齧った瞬間レモンの爽やかさが口に広がり、甘酸っぱさが口福を届けてくれる。

Bakery uki

住所:京都府京都市上京区俵屋町455-6
TEL:075-746-2273
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日月休

2020年1月オープン。カリッと香ばしく焼けた外側と、中の層のしっとり感が絶妙なクロワッサンや、アルファ化した湯種を使った「αバゲット」なども人気。

photo_Kunihiro Fukumori text_Mako Yamato

No. 1229

No.1229 『永遠の三大定番スイーツ特集 ショートケーキ シュークリーム ドーナツ』 2024年01月26日 発売号

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