北海道の知床半島沖で、観光船「KAZUⅠ」が沈没した事故から23日で2年…20人が死亡、未だに6人の行方がわからないままですが、行方不明の男性の父親が胸の内を語ってくれました。

 自ら調理した「ちゃんぽん」でしょうか…丼を両手に、優しく微笑む小柳宝大(こやなぎ・みちお)さん。

 外食チェーンの「リンガーハット」で働いていました。

 おととし4月23日は、勤務先のカンボジアから一時帰国、上司と北海道旅行中の沈没事故で、未だに行方がわからないままです。

Q.知床を訪れて、あらためて思うことは?
「そうですね、息子がいるそばに来るという、あと何年、生きているうちに健康で来られるかわからないけど、来られる間は、息子のそばに来たいと思いますね」

 こう、胸の内を語ってくれたのは、福岡県久留米市に住む小柳さんの父親です。追悼式に出席のため、知床を訪れました。

Q.宝大さんは、知床を楽しみにしていた?
「宝大が好きで、最後に来たところだから、ウトロには前みたいに賑やかになって欲しいと、私は思います」
「まあ、急には無理でしょうけれど、将来的にはなってもらいたいですね」

 小柳さんの行方はわからないままですが、リュックサックやカメラが見つかり、家族の元へ…父親は「息子が帰ってきたみたいに嬉しかった」と語りながら、もう、覚悟はできているので、何とか遺骨が見つかって欲しいと切実な思いを口にしました。

「ひと欠片でも見つかってくれたらですね、今までね、大変だったねって、おかえりって、やっぱり言って、うちの墓にも納骨したい」

「これから先は、そうですね、宝大がいなくなって、生活が一変したものですから、うちの家とか、土地とか、そういう問題をどうしようかとか家族で話し合って、子どもがいないからですね、やっぱり処分すべきかなとか話し合いながら少しずつしている」

 沈没事故をめぐっては、去年9月、国の運輸安全委員会がハッチの蓋の不具合を事故原因と結論付ける最終報告書を発表。

 乗客の遺族や家族の半数以上が5月下旬にも、運航会社と桂田精一社長を相手取り、損害賠償を求める民事訴訟を提訴する予定です。

 一方、桂田社長は取材に対し「告発を受けている身なので、お答えできない」と話すだけでした。

Q.運航会社の社長や国に訴えたいことがある?
「我が身になってみてから、こんなにも苦しくて、悲しいものかと」
「皆の人生が、まわりも、家族の人生も全て変わってしまう、本人だけじゃなくて」
「今の日本で、こんなことがあっていいもんじゃろうかと、だからもう、なくしていかなければいけないと思います」