急なけがや体調不良に見舞われたとき、早く病院へ運んでもらえるよう救急車に助けを求めることもありますよね。自分にとっての一大事とはいえ、病院にはほかに一刻を争う患者さんがいることも理解しなければなりません。そうした状況について、尼崎市消防局が公式インスタグラムアカウント(amagasaki.119.fd)で勘違いされがちな事例が紹介され、反響を呼んでいます。

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足をけがした男性 早く診てほしいと訴えるけれど…

 緊急時に駆けつけてくれる救急車。しかし、適切とはいえない利用をするケースのせいで、必要な場所への到着が遅れるなどの問題も発生しています。こうしたことが起きないよう、同局は救急車の適正利用について発信し注意喚起。

 今回は、「【救急車で病院行けば早く診てもらえる?】」とのコメントを添えて、救急車を利用した人が勘違いしがちなことを動画で再現しています。

 足にけがを負い、救急車を呼んだある男性。意識がしっかりあり、大きなけがではないようです。しかし、痛みに耐えかね、乗り合わせた救急隊員に「救急車で病院行ったら早く診てもらえんねやろ?」と確認します。

 男性に優しく声をかけながら搬送先を探す救急隊員は、「場合にもよりますけども、それを決めるのは病院の先生」と回答。納得がいかないのか、男性は「なんで?」と迫ります。すると、救急隊員は落ち着いて男性に説明しました。

「病院の先生が症状を判断して、緊急性がある場合はもちろん早く診てもらえます。でもですね、病院の中にはいっぱい診察待ちの人もいますし、次から次へと新しい患者さんも来ます。そのなかから緊急性が高い順番ごとに診察するんですよ。なので、自分自身で歩いて病院に来た人と同じように、待ってもらうことももちろんあります」

 男性は「こんなに足痛いのに……」といまいちピンときていない様子ですが、救急車で搬送されたからといって、必ずしも優先的に診察してもらえるとは限りません。実際の救急病院でも、病院へ来る手段に関係なく医師が患者の状態を判断して、緊急性の高い人から処置を行っています。

 投稿は反響を呼び、コメント欄には「救急看護師です。その考えを諭していただき感謝しております」といった医療現場からの声のほか、「まだ、こんな人がいらっしゃるんですね」「適切に使用してほしいと切に願います」と憤る人の声も寄せられました。

 救急車の搬送件数は年々増加しています。救急車や隊員の数には限りがあり、緊急性がない利用が相次ぐと、本当に必要な人の緊急通報に対応できなくなるおそれも。ひとりでも多くの命が助かり、大事に至ることがないよう、適切に利用したいですね。

Hint-Pot編集部