女優の桜田ひより(21)が、デビュー15年のキャリアを経てブレイク中だ。このほどスポーツ報知の取材に応じ「こんなに充実しているのは人生で初めて」と心境を語った。15周年イヤーのラストを飾る、JO1・川西拓実(24)とのダブル主演映画「バジーノイズ」(公開中、風間太樹監督)では“全編関西弁”の芝居に初挑戦。女優として「自分の色を見つけたい」と先を見据えた。(奥津 友希乃)

 圧倒的な透明感と瞳の輝き、繊細な表現力に心を奪われる人が続出中だ。

 この2年間の桜田の活躍は目覚ましい。目黒蓮(27)と兄妹役で注目を集めたフジテレビ系「silent」(22年)など地上波ドラマに10本出演し、うち主演作は同局系「あたりのキッチン!」(23年)など3本。CMも急増し、川口春奈(29)らが務めた人気女優の登竜門「JR SKISKI」など昨年から11社に出演した。映画でも3月にアカデミー賞新人賞に輝いた。

 5歳でテレビの世界に憧れ、自らの意思で芸能界入り。“次世代女優筆頭”に成長し「この2年はかなり変化の年でした。次々といろいろな役をやらせていただき『あの作品よかったよ』と現場で声をかけていただく頻度も増えました。こんなに充実しているのは人生で初めて!」と売れっ子の仲間入りを喜ぶ。

 ブレイクの根底にあるのは、みずみずしい感性を残しながらも、演じる役の奥底にある陰や葛藤も丁寧にすくう繊細な感情表現だ。公開中の映画「バジーノイズ」の風間監督も、桜田の表現力に魅せられたひとりで、熱烈オファーにより早くも「silent」に続く再タッグが実現した。

 劇中では、生きることに不器用な女性・潮(うしお)を演じ「無邪気だけどつかみどころがなくて、目を離した隙にいなくなっちゃいそうな女の子。バランスが難しかったです」と振り返る。関西弁のセリフに初挑戦し「私は一点集中でのめり込むタイプなので、神戸弁の音源を聞き込み過ぎて、途中頭の中がぐちゃぐちゃになった。違和感なく聞こえていたらいいな」と謙遜するが、細かな発音まで自然に演じ切っている。

 川西演じる青年・清澄が音楽に没頭する一方で、潮は生きがいを見いだせずにいる役柄。桜田にとって、女優業は「生きるために必要だし、人生の一部。生きがいという意味では、好きな読書を控えたり我慢しなくちゃいけないことや葛藤も多いけど、お芝居が好きという気持ちが何にも勝る」と言い切る。

 今作を経て、自身の“色”を模索しており「自分の中のパレットはまだ数色。欲張りだけど一作品、一役ごとに色を見つけてカラフルに彩っていきたい。自分の好きを貫いて、最終的に自分の色を見つけられたら。まだまだ進化が必要です」と自らに言い聞かせるように、静かに誓った。

 ◆桜田 ひより(さくらだ・ひより)2002年12月19日、千葉県生まれ。21歳。5歳から子役で活躍し、14年日テレ系「明日、ママがいない」の児童養護施設の子ども役で脚光を浴びる。18年「咲―Saki―阿知賀編episode of side―A」で映画初主演。18〜23年「SEVENTEEN」専属モデル。23年映画「交換ウソ日記」など数々の話題作でヒロインを務める。身長158センチ。