歌舞伎俳優の坂東玉三郎と落語家の春風亭小朝が8日、都内で「坂東玉三郎×春風亭小朝 歌舞伎座特別公演」(7月25日、歌舞伎座)の合同取材会に出席した。

 昨年7月の京都・南座、今年1月の大阪松竹座に続く、玉三郎と小朝のコラボイベント第3弾。落語の名作で歌舞伎でも世話物として親しまれる「怪談 牡丹灯籠(ぼたんどうろう)」は浪人・萩原新三郎などを小朝が演じ、お露、お米、お峰の女形3役を玉三郎が勤める。「越路吹雪物語」は小朝の語りの間に、玉三郎が「愛の讃歌」など6曲を歌う。

 歌舞伎で慣れ親しんだ歌舞伎座の舞台で異業種コラボに挑む玉三郎は「歌舞伎座でやらせていただくことが、ありがたい。これを出発点として今後、どういうところに流れていくのか。お楽しみにしていただきたい。親密感のある世界。それを流麗に届けていくことが大事だと思います」。小朝も「歌舞伎と落語、どちらのファンの方にも楽しんでいただけるはず。必ず満足してもらえると確信を持っています」と胸を張った。

 20代の頃から面識があり、すっかり打ち解けた様子の2人。お互いの印象について、玉三郎は「江戸の落語、江戸言葉が流ちょうに話せる人が身近にいるというのが大きい。私たちが世話物をやるときに習得しないといけない江戸言葉をしゃべる人が、そのまま隣にいる。人間的には、非常に何でもこちら側のやりたいことを吸収してくれる。『それでいいですよ』と。何でも僕の思った通りにやってくれる」と明かした。

 一方の小朝は「芸の面は極めた方。お芝居や踊りの質問をすると、短く端的に核心をついた答えが返ってくる。落語界にそんな人いないですよ。とても勉強になります。人間的には、とにかく、いっぱいしゃべってくれる。ご飯をごちそうになって2時間半、黙っていたのは3分くらい。ずっとしゃべっていました。私にとって人生を変えるくらいの出会いになりました」と敬意を表した。