女優・宮沢りえ(51)の映画デビュー作「ぼくらの七日間戦争」の原作者として知られる作家の宗田理(そうだ・おさむ)さんが8日、肺炎のため名古屋市の病院で死去した。95歳だった。東京都出身。葬儀は家族で行った。喪主は長男・唯(ゆい)氏。85年の「―七日間戦争」から始まる「ぼくら」シリーズがベストセラーに。90歳を超えても精力的に作品を書き続け、今年3月にも新作を刊行したばかりだった。

 * * *

 「ぼくらの七日間戦争」といえば、最初に宮沢りえの映画を思い浮かべる人が多いだろうが、記者は小学生時に宗田さんの原作小説で「ぼくら」シリーズのとりこになった一人。初めて読んだ時の衝撃から約30年後の2018年9月に、話を聞く機会を得た。

 孫かひ孫の世代が読む物語を、なぜその年齢になっても生み出せるのか? その謎の答えは宗田さんが「年齢を重ねても子供時代を生きていた」からだった。

 「ぼくら」シリーズは、子供時代の経験を基に書いているようにも感じるが、1928年生まれの宗田さんにとって小中学生時は戦争真っただ中。遊ぶこともいたずらすることもできなかった。「だから、『こんなことができればよかったな…』と思いながら書いていた」という。

 「今の子供はこれが好き」と想像するのではなく、「自分が子供だったら、これが楽しい」と思うことを、登場人物を自由に動き回らせることで実現させる。当時、次の物語の中で登場させようとしていたいたずらを紹介してくれた時の、まさに子供のような笑顔は、今も心に残っている。(文化社会部デスク・高柳 哲人)