米司法省は8日(日本時間9日)、ドジャース大谷翔平投手(29)の元通訳、水原一平被告(39)が大谷の口座から約1700万ドル(約26億4400万円)を盗んだとする銀行詐欺などの罪を認め、司法取引に応じたと発表した。連邦地検は刑の軽減を申し入れる。水原被告は14日(同15日)に罪状認否のためカリフォルニア州の連邦地裁に出廷する。

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 国際弁護士の湯浅卓氏は、水原被告を巡る司法取引について「日本では巨額の被害額の返済に焦点を当てがちなんですが、実は米国の司法では大きな問題ではないんです」と話す。

 「水原さんにこういう条件でサインさせることで、裁判で判事が『水原さんはどれだけ反省しているのか』『お金を返す意思があるのか』といった心情を測る材料にさせているのです」。つまり巨額の返済額設定は、判決の判断材料の一つとして戦略的に提示しているということ。「実際の判決で返済が義務づけられて払えなかったとしたら、今回の裁判じゃなく別の民事裁判とかで解決していく。今回はあくまで量刑が重要という考えなのです」と説明した。その意味で「15日の罪状認否が非常に大事。判事が水原さんの心情をどれだけくみ取るかで判決が変わる」と断言。「普通なら判決は6月末」と予測した。

 一方、湯浅氏は「NFLのジャクソンビル・ジャガーズの会計係が、賭博で32億円を使い込んだケースがありました。司法取引の結果、実刑6年半になったのですが、裁判で判事のほうが軽すぎるとして取引内容を変更。裁判はいま継続中」とも。この事例を参考にすると、水原被告は実刑6〜7年程度、本人の態度次第ではもう少し長くなり、裁判も長期化する可能性もあるということだ。