◆春季高校野球石川県大会 ▽1回戦 鵬学園8−0小松工=7回コールド=(21日・金沢市民)

 1回戦5試合が行われ、鵬学園は8−0の7回コールドで小松工に快勝し、初戦突破を決めた。4月に黒詰海成監督(24)が就任し、チームの雰囲気も一新。黒詰新監督は「昨秋は公式戦で硬くなっていた。楽しくプレーすることを心がけ、試合でも練習の雰囲気が出せるようになりました」と明るい表情。選手たちはのびのびとしたプレーを見せ、打線は9安打を放てば、守備では2投手がゼロ封リレーで勝利を呼び込んだ。

 投打の“ヒーロー”となったのが、3番・戸澗飛郎(とま・ひいろ)二塁手(3年)だ。鋭いスイングで長短打3本を放って打線に火を付ければ、6回からは抑え投手として登板。最速137キロのストレートを武器に、2回を2安打、無失点で試合を締めくくった。名前の「飛郎」は「人を助けられる人になって欲しい」と名付けられたもの。戸澗は「場面によって、考えながらバッティングが出来た。監督とは年齢も近く、いろいろと言えることも多いです」と笑顔を見せた。

 黒詰監督は鵬学園出身で、当時は3番、三塁手の主将としてチームを引っ張った。大東文化大では軟式でプレーし、昨年に鵬学園野球部の部長に就任。昨秋は監督代理を務め、今年4月から正式に指揮を執ることになった。能登半島地震後は1か月、練習できなかったが、2月から全体練習を開始。7キロの長距離走も取り入れ、下半身の強化を図ってきた。投手としても急成長中の戸澗は「倒れそうになるくらい辛いですが、足腰も強くなり、球速も上がりました」と手応えをつかむ。

 今大会の目標は強豪私学を倒し、夏のシード権を獲得すること。戸澗は「夏までに、140キロを出したい。少しでも能登に勇気を与えられるように、勝って恩返ししたいです」と決意。新指揮官の下、能登から快進撃を目指す。(中田 康博)